MICE特集:セミナーレポート−MPIJapan浅井氏と日本タッパーウェア浅香氏
MICEの計画段階からヒアリングを
コミッションビジネスからフィービジネスへ
トラベルビジョンでは5月19日、昨年に続いて「MICEセミナー&ワークショップ2010」を実施した。セミナーではMPI Japan会長の浅井新介氏が登壇し、「MICE−旅行会社、こうやって儲けろ!」と題して講演。浅井氏は、参加者に対して業界環境の変化にも触れつつ、MICEへの取り組み方を見直して計画から終了まですべての段階に主体的に関わることを提案した。
MICEを事業として見直し、ビジネス領域の拡大を
浅井氏は、従来の旅行会社の業務は「Date(日付)、Space(航空座席や実施場所)、Price(値段)」の決定であると指摘。その上で、「これらの3分の2以上が単なる連絡であり、『仕事』ではなく『作業』」とし、「今後こうした『作業』は日本から消滅していくのでは」と推察する。そして、そうなった場合「簡単な『作業』では利益が上がらない」ため、MICEをひとつの「事業」として見直すべきであるとした。
MICEを「事業」として見直すとは、MICEを単なる手配で終わらせるのではなく、顧客がMICEを検討しはじめる段階から目的設定、具体的な計画、実施などすべての段階を一体的に捉えること。これにより、宿泊費や交通費だけでなく、企画や運営や制作物作成などにビジネス領域が拡大し、利益が増加するという。また、「サービスとサービス業は違う」ことから、営業管理費や人件費などの人に関わる項目はすべて課金を心がけるべきとした。
写真撮影など旅行会社では実現が難しい分野については、各サプライヤーで連携してアライアンスを組むことで、顧客に対してワンストップのサービスを提供するよう訴えた。浅井氏によると「MICEはネットワークビジネス」であるといい、特に大型団体になればなるほど連携する必要性が増すという。
旅行から課題解決型のMICEへ
浅井氏はMICEを「事業」として見直すことで、初期段階から顧客と関わりをもち、顧客との関係が深まるとした。つまり、顧客である企業・団体の理念や置かれた状況を理解した上で課題を解決するための戦略を共に策定し、さらにその目的を達成するMICEを創出することで、顧客との信頼関係が生まれるという。そのための具体的な方策として、浅井氏は顧客が抱えている課題のヒアリングからはじめるなど、顧客との関わり方を変えることを提案。また、「まずは企業が計画しているすべてのMICEを洗い出すこと」も必要だとした。
具体例として浅井氏は、教育旅行での学校との関わり方を紹介。学校に対しては「単に旅行を売りに来た人ではなく、ヒアリングすることで課題解決に向けた協力姿勢を見せていく」ことが大切という。そして、教育旅行が人間力や自主性、社会性の養成などの目的で実施されることを理解した上で、企業とタイアップした職業体験や、農業体験、語学研修や交流の場の提供などの体験旅行を提案し、課題解決への道を示すことで顧客の信頼を得るきっかけとなるとした。
旅行会社が抱える課題−マンネリズムとフィービジネスへの移行
浅井氏はまた、旅行会社が抱える課題として、「コミッションビジネスから来る契約施設という弊害によるマンネリズム」をあげた。契約施設を使い続けるのではなく、流行のレストランや会場、施設などの最新情報を集めて提案することが旅行会社に求められるという。さらに、「GeneralからSpecificへ」とし、自らが100%理解している得意のデスティネーションを持つことの重要性を訴えた。
また、別の課題としては「コミッションビジネスからフィービジネス、コンサルテーションビジネスへの移行」をあげる。浅井氏はこれまでの旅行会社の提案の多くは、「顧客の希望をヒアリングせず、あるものを当てはめる」だけと指摘。また、旅行会社4社にMICEの提案を依頼した際の結果を紹介し、「競合他社について聞いてこない」「具体的な提案がない」「契約施設と思えるもの、あるいは得意な旅行を売ろうとする」「質問の内容が整理されていない」といった点も、フィービジネスをめざす上で改善しなければならない課題とした。
コミッションビジネスからフィービジネスへ
トラベルビジョンでは5月19日、昨年に続いて「MICEセミナー&ワークショップ2010」を実施した。セミナーではMPI Japan会長の浅井新介氏が登壇し、「MICE−旅行会社、こうやって儲けろ!」と題して講演。浅井氏は、参加者に対して業界環境の変化にも触れつつ、MICEへの取り組み方を見直して計画から終了まですべての段階に主体的に関わることを提案した。
MICEを事業として見直し、ビジネス領域の拡大を
浅井氏は、従来の旅行会社の業務は「Date(日付)、Space(航空座席や実施場所)、Price(値段)」の決定であると指摘。その上で、「これらの3分の2以上が単なる連絡であり、『仕事』ではなく『作業』」とし、「今後こうした『作業』は日本から消滅していくのでは」と推察する。そして、そうなった場合「簡単な『作業』では利益が上がらない」ため、MICEをひとつの「事業」として見直すべきであるとした。
MICEを「事業」として見直すとは、MICEを単なる手配で終わらせるのではなく、顧客がMICEを検討しはじめる段階から目的設定、具体的な計画、実施などすべての段階を一体的に捉えること。これにより、宿泊費や交通費だけでなく、企画や運営や制作物作成などにビジネス領域が拡大し、利益が増加するという。また、「サービスとサービス業は違う」ことから、営業管理費や人件費などの人に関わる項目はすべて課金を心がけるべきとした。
写真撮影など旅行会社では実現が難しい分野については、各サプライヤーで連携してアライアンスを組むことで、顧客に対してワンストップのサービスを提供するよう訴えた。浅井氏によると「MICEはネットワークビジネス」であるといい、特に大型団体になればなるほど連携する必要性が増すという。
旅行から課題解決型のMICEへ
浅井氏はMICEを「事業」として見直すことで、初期段階から顧客と関わりをもち、顧客との関係が深まるとした。つまり、顧客である企業・団体の理念や置かれた状況を理解した上で課題を解決するための戦略を共に策定し、さらにその目的を達成するMICEを創出することで、顧客との信頼関係が生まれるという。そのための具体的な方策として、浅井氏は顧客が抱えている課題のヒアリングからはじめるなど、顧客との関わり方を変えることを提案。また、「まずは企業が計画しているすべてのMICEを洗い出すこと」も必要だとした。
具体例として浅井氏は、教育旅行での学校との関わり方を紹介。学校に対しては「単に旅行を売りに来た人ではなく、ヒアリングすることで課題解決に向けた協力姿勢を見せていく」ことが大切という。そして、教育旅行が人間力や自主性、社会性の養成などの目的で実施されることを理解した上で、企業とタイアップした職業体験や、農業体験、語学研修や交流の場の提供などの体験旅行を提案し、課題解決への道を示すことで顧客の信頼を得るきっかけとなるとした。
旅行会社が抱える課題−マンネリズムとフィービジネスへの移行
浅井氏はまた、旅行会社が抱える課題として、「コミッションビジネスから来る契約施設という弊害によるマンネリズム」をあげた。契約施設を使い続けるのではなく、流行のレストランや会場、施設などの最新情報を集めて提案することが旅行会社に求められるという。さらに、「GeneralからSpecificへ」とし、自らが100%理解している得意のデスティネーションを持つことの重要性を訴えた。
また、別の課題としては「コミッションビジネスからフィービジネス、コンサルテーションビジネスへの移行」をあげる。浅井氏はこれまでの旅行会社の提案の多くは、「顧客の希望をヒアリングせず、あるものを当てはめる」だけと指摘。また、旅行会社4社にMICEの提案を依頼した際の結果を紹介し、「競合他社について聞いてこない」「具体的な提案がない」「契約施設と思えるもの、あるいは得意な旅行を売ろうとする」「質問の内容が整理されていない」といった点も、フィービジネスをめざす上で改善しなければならない課題とした。
インセンティブを成功に導くヒント
−上級なホスピタリティと企画提案力を重視
セミナーの第1部では「成功するインセンティブのヒン
ト」と題し、日本タッパーウェア株式会社営業部イベン
ト課スペシャルイベンツスーパーバイザーの浅香雅司氏
が講演。MICEを単発で終わらせず、リピートにつなげる
ポイントを提示した。このうち、旅行会社の選定理由と
して、料金や現地支店の有無もさることながら「担当者
への信頼感やレスポンスの早さも非常に重視している」
と説明。また、旅行会社に求めることは「他社と差別化
した演出を新しく取り入れ、ホテルができないといって
も鵜呑みにせず、企画を提案すること」であり、ホテル
に対しても「定番の枠を押し付けないでほしい」と主張。
「非日常を演出し、記憶に残る面白い企画で次につなげる工夫を」と、提案力の重要性を
説いた。
また、ホテルに対しても「インセンティブ旅行は、主催企業の経営に貢献する大事なお
客様への報償」であり、小さなミスも企業にとっては大きな痛手になりうるとし、一般団
体との差別化を要望。ホテル全体で上級なホスピタリティを実現する必要性を語った。
取材:辻千晶