DS模擬問題:ハンガリー編 にわかに注目を集めるハンガリー南部の古都、ペーチ

  • 2010年5月24日
問 ハンガリー南部の古都ペーチにないものは次のうちどれか

A 世界遺産
B ハンガリー最古の大学
C イスラム建築物
D ハンガリー最古のビール工場
                   
――正解は下記へ
   
ココに注目!
 
 
▽キリスト教の中心地として発展

 ハンガリー南部、クロアチアと国境を接するバラニャ県に属する街ペーチは、人口約15万人の同国第5の都市。首都ブダペストからは、今年開通した高速道路を利用すれば車で約2時間の距離だ。地中海性の温暖な気候に恵まれ、古くからワイン産地として、また、春にはアーモンドの花が咲く自然豊かなエリアとして知られている。歴史を物語る古い建築物が残り、趣のあるカフェやレストランとともにのどかな郊外都市を構成。街全体が見どころとなっている。

古代ローマ帝国の属州だった時代、この地はソピアネと呼ばれ、初期キリスト教の重要な中心地だった。それを物語るのは、4世紀の遺跡で、16のユニットから成る大規模な共同墓地。2000年には、「ペーチ(ソピアネ)の初期キリスト教徒の墓地」としてユネスコの世界遺産に登録されている。現在、7つのユニットが発掘調査中で、このうち2つの見学が可能。具体的な見どころは、壁画や石棺などが残る初期キリスト教墓地の地下墓地や4メートルから6メートル地下に7つの後陣をもつ礼拝堂(セラ・セプティコラ)、地下見学回廊で結ばれた埋葬所など。地上では、4本の尖塔をもつドーム広場の司教座大聖堂も見学したい。大聖堂の地下礼拝堂は11世紀に建てられたもので、ハンガリー最古のキリスト教会のひとつとなっている。


▽街歩きで見つける歴史の遺産

 中世になっても、ペーチはキリスト教信仰が盛んで、司教座の街として発展した。いくつかの修道会がペーチに定住したことで、病院や修道院が建ち、1367年にはハンガリー初の大学も建てられた。このため、ペーチは今でも学生の街として知られている。

16世紀にハンガリーの一部がオスマン帝国領となったことで、ペーチもイスラムの影響を色濃く受けることになる。キリスト教の教会はモスクに変わり、トルコ式風呂やミナレットが建てられ、市場ではバザールが開かれるようになった。現在、街の景観の中心をなす旧ガージ・カーシム・パシャ・イスラム大寺院が丸屋根を特徴とするイスラム建築であるのは、こうした歴史的背景を物語っているからだ。同寺院が現在、カトリック教会として利用されているのもまた、時代の流れといえるだろう。

 街のいたる所で目にする装飾タイル、ジョルナイ陶器もペーチが発祥だ。カープタラン通りのジョルナイ美術館では、各種ジョルナイ焼きの作品やパリ万国博覧会で金賞を受賞した作品、創始者ジョルナイ・ヴィルモシュの部屋を見学することができる。また、この街を訪れたなら、ハンガリーの奇才、チョントヴァーリ・コストカ・ティヴァダルの絵画も鑑賞したい。独特の世界観を築き上げたチョントヴァーリの絵画は、ヤヌス・パンノニウス通りにあるチョントヴァーリ美術館に展示されている。


▽ペーチが欧州文化首都2010に

 ペーチは今年、ドイツのエッセン、トルコのイスタンブールとともに、欧州文化首都2010に選ばれた。欧州文化首都とは、欧州連合が加盟国の一都市を指定し、1年間文化事業を開催するもので、1985年にアテネから始まった。2000年以降は複数の都市が選ばれるようになり、2010年はペーチを含む3都市が指定されている。

 ペーチではすでに、世界各国のアーティストが参加した音楽や演劇の祭典、ハンガリーの民族音楽イベントなどが開催された。今後は、下記のようなイベントを予定している。


<今後のイベント・スケジュール>
7月1〜14日:木管楽器競技会
8月6〜8日:ハンガリー・日本友好協会主催の世界俳句大会
8月13〜15日:国際・全国折り紙会議
8月23〜28日:ペーチ国際大人の人形劇祭り
9月20〜25日:ペーチ国際ダンスの集い
11月11〜13日:バルカン世界音楽祭





正解:D