パウワウ開幕、参加者増加で35億ドル超の効果見込む−旅行促進法に期待

  • 2010年5月19日
 (オーランド発:本誌 松本裕一) 米国フロリダ州のオーランドで5月17日(現地時間)、「インターナショナルPOW WOW(パウワウ)」の旅行見本市と商談会が開幕した。42回目を迎えた同イベントはUSトラベル・アソシエーション(USTA)が主催するもので、海外の旅行会社と米国内のサプライヤーを結びつけ、米国へのインバウンド旅行を促進することが目的。USTAプレジデント兼CEOのロジャー・ダウ氏は本誌取材に対して、「海外からの訪米需要はここ数年厳しい状況であったが、パウワウは未来を見据えた非常に重要イベント」とし、今回のパウワウ開催により35億米ドル(約3200億円)から40億米ドル(約3700億円)の経済効果を見込んでいると強調した。

 ダウ氏によると、バイヤーは70ヶ国から約1700名、サプライヤーは米国内から数千名が集まった。全体の参加者は5000名を上回り、前年比4%以上の増加となる見込み。日本からもメディア9名を含む77名が参加し、新型インフルエンザによるキャンセルが発生した前年実績を上回った。こうした傾向についてUSTA上級副社長兼COOのブルース・ボンマリート氏は、「良い傾向であり、勇気付けられる」とコメント。ダウ氏も「日本市場はここ数年、他市場よりも厳しい環境が続いていたが、アジア全体の旅行市場の未来は非常に明るく、日本ももうすぐ回復してくれると信じている」と語った。


▽ESTA有料化の影響は「さほど心配なし」−使途はFAMやトレードショーなど予定

 米国入国時に必要になる電子渡航認証システム「ESTA」の有料化が決まったことに関してダウ氏は、10米ドル(約920円)を徴収するが、訪米する度に必要なものではなく、2年に1度であり、さほど心配することはない」との考えを表明。ESTA有料化による収益を米国への旅行需要喚起に使用する「旅行促進法(TPA:Travel Promotion Act)」については、「今まで米国は米国全体のプロモーションをしてこなかったが、他市場は5000万米ドルから1億米ドル(約46億円から約92億円)を投じて自国のプロモーションを実施しており、これが米国が遅れをとる原因になっていた」とし、TPAの実施は「非常に大きな効果を持つ」と分析した。

 TPAでは、米国旅行のプロモーション費用として最大で2億米ドル(約184億円)を確保できることが決まっているが、活動案など詳細は未定だ。ただし、予算配分については、「旅行者が多い主要市場により多くの予算を投じることは今のところ間違いない」とし、主要市場はカナダ、メキシコ、イギリス、ドイツ、日本であると説明。ただし、「スカンジナビアや中国、インドなどの有望な市場にも配分したい」とも語った。

 なお、TPAの実施に向けた取り組みのスケジュールは、今後3ヶ月程度で理事会を立ち上げ、ESTA有料化の徴収方法を検討する。プロモーション活動の計画も年内には詰めたいという。


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