JATA、10年度は「会員目線」最重視、需要創出や構造変化など対応進める

  • 2010年4月8日
 日本旅行業協会(JATA)は2010年度の事業計画で、全般的な取り組み姿勢として“会員目線”を最重視する方針だ。JATA事務局長の奥山隆哉氏は、2009年度は需要の落ち込みに加えて、国際航空運送協会(IATA)の債務保証問題、ゼロコミッションの本格化、オンライン旅行会社の伸張、高速道路料金の値下げなどの構造変化が予想以上に急速に進んだと指摘。このため「会員の中に閉塞感が広がっている」ことから、「会員の考えを謙虚に確かめながら」事業を展開する必要があるとした。

 閉塞感の打破に向けては、「旅行意欲の創出」「旅行需要の拡大」「ビジネス環境の整備」を進める方針だ。旅行意欲の創出については、2009年度の事業計画では需要拡大のみを掲げていたが、景況感も改善しつつあることから、新規需要の掘り起こしにも着手したい考え。需要拡大では、若年層対策やパスポート取得率向上、チャーターの利用促進なども引き続き進める。

 また、ビジネス環境の整備では、多様かつ魅力的な旅行商品の企画が可能になるよう、旅行業約款の改正に向けた検討を進める。さらに、ゼロコミッションやIT向けの座席の減少など航空会社との関係についても、JATAとしてできることが限られる中で「一歩ずつ、半歩ずつでも前に進めていく」考え。このほか、「業界人材力のレベルアップ」「リスクマネジメントの強化」「休暇取得の促進」なども継続して取り組む。


▽VWC、最終年度は旅行会社向け施策強化−次年度以降も取り組み継続へ

 2010年度に最終年度を迎えるビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)については、重点デスティネーションごとに設置したワーキンググループでの需要喚起策の立案など、「これまで積み重ねてきたものを定着させる」ことを重視。また、これまでは消費者向けの活動が多かったが、「環境が好転しつつあるなかで、旅行会社の足腰が弱ければ売れるものも売れない」との考えから、今年度は旅行会社向けの取り組みに注力。研修旅行やセミナーを実施して、現場の営業力、販売力の向上をはかる。

 来年度以降については、「要員、資金をそのままの規模で続けられるとは思わない」としつつ、「2000万人の目標を取り下げたわけではなく、早期達成に向けて何らかの形で続けるべき」と言及。具体的な方針は固まっていないが、6月のJATA総会と夏の繁忙期を終えた秋頃から本格的に検討を開始したいとした。