日旅MICE営業部、取扱額270億円達成めざす−人材育成強化とシステム活用で

  • 2010年4月7日
 日本旅行は2010年、MICEでの販売額を270億円に拡大し、団体旅行全体でのシェアを約30%まで引き上げることをめざす。日旅では、2009年3月1日にMICE営業部を設立したものの、新型インフルエンザの発生や景気低迷などにより、2009年の販売額は団体旅行全体の27%のシェアにとどまったという。一方、日本旅行営業企画本部団体推進本部MICE営業部部長の石垣隆久氏によると、2010年の出足は「ほぼ前年並み」といい、若手・中堅社員の人材育成や、新システムの導入などにより、手配だけに終わらず運営まで任される「顧客のビジネスに直接結び付く仕事」に注力していく考えだ。

 人材育成では、実際にプレゼンテーションする様子を録画して各自で確認しながら個々の技量や課題を改善していく研修をすでに実施。「先輩社員が古い感覚では下が伸びない」(石垣氏)との考えから、まず中堅社員を対象に実施したという。また、営業スタッフにデータ分析や運営のポイントなどをまとめたマニュアルを配布しているが、より内容を深化させたものも計画中。さらに、旅行業者ではなくイベントの管理者であるという意識付けをめざし、イベント業務管理者資格試験取得も促進。全国5つの営業本部と2つの地域会社各所に10名ずつ配置できるよう、学習に必要な経費は負担するなど営業部としてバックアップする。

 また、4月中旬には新たに会議室検索システム“アルテミス”を稼働する予定だ。これまで、会議や大会の参加者を募集し、申し込みを受け付けられる“アポロン”や、その参加者の情報をデータ化して管理できる“カラーコード”を導入しているが、アルテミスは会議室を検索し見積もりを受け付けるシステム。日中外出が多く夜間に会議施設を検索するという医薬情報担当者(MR)など、新規需要の取り込みに期待する。また、MICE営業部マネージャーの大井宇亮氏によると、アルテミスを活用して会議などを受注できれば、アポロンで参加者募集と申込受付、カラーコードで当日の運営、管理と一貫した対応が可能なため、包括的に提案できるようになった。アルテミスは開設当初は東京、横浜エリアのみ対応しているが、順次拡大していく予定という。

 このほか、1週間ごとにMICEの受注状況を全体で情報共有をはかる取り組みも実施。MICE営業部ができる以前は営業本部ごとに情報共有していたが、全社的な展開は初めて。規模の大きいものだけでなく、旬のものや特徴のあるものまで、受注につながった経緯やポイントも共有しているという。