「障がい者旅行」の需要に対応−医療サービス会社がセミナー開催

  • 2010年3月12日
 海外旅行の医療サービスを手がけるオブベース・メディカ(OBM)は先ごろ、旅行業界向けに初のセミナーを実施した。OBM代表の篠塚規氏が「高齢化、超高齢化の進む時代において、旅行の新たなモデルになるのではないか」と、旅行会社に対し「障がい者を含む旅行」への積極的な取り組みを訴えた。

 篠塚氏によると、障がい者を含む旅行の場合、FITで金銭面に余裕がある層がほとんど。つきそいの家族や友人を含めた需要の発生に加え、余裕のある行程やホテル、航空座席が必要となるため、消費額増が見込める。さらに、旅行への意欲が高い彼らはリピーターとなる率が高く、年3回から4回同社のサービスを利用して旅行する患者もいるという。
 
 今回のセミナーでは血液透析とHOT(在宅酸素療法)を受けている患者の事例を紹介。腎機能の低下により血液透析が必要な患者は2010年現在で約30万人、慢性閉塞性肺疾患(COPD)により常時酸素吸入を必要としている患者が約13万人いる。彼らが旅行するには渡航先や航空機内での酸素の手配や、海外渡航先での透析設備の手配が必要だが、専門知識が必要で手続きが複雑であるため二の足を踏む旅行会社が多い。患者が旅行会社に問合わせても知識不足で手配方法がわからず、旅行が可能な場合でも断わってしまい、需要はあるのに対応できていないケースが多いという。

 篠塚氏は、「単価が高く利益が見込め、需要もあるが、障がい者だからクレームが多い、面倒、というネガティブな印象」があるとし、「旅行会社は移動と宿のサポートをし、医療関係は専門的知識のある医療手配会社が行えばよい」と言及。旅行会社は専門的なデスクや部署を立ち上げるのではなく、医療手配会社と分業することで、コストセーブをしながら障がい者を含む旅行の取り扱いが可能であると訴えた。