KNT、ラグゼ銀座マロニエを移転、生産性向上で−富裕層の望みは「品質」

  • 2010年1月22日
 近畿日本ツーリスト(KNT)は2月1日、「ラグゼ銀座マロニエ」のサロンを閉鎖し、組織機能を錦糸町のECC事業本部カンパニー・中央法人旅行支店内に移転する。KNTブランド戦略室によると経営効率と生産性向上の一環。錦糸町にサロンは設けず、「『ラグゼ銀座マロニエ』をブランドとして残す」考え。これは顧客の半数が地方在住であることに加え、「来店する富裕層が極端に少ない」ため。「銀座のイメージによる広告的な意味合いはあった」ものの、「富裕層が求めているのは品質やサービスであり、店舗の空間ではない」との分析だ。

 中央法人旅行支店への移転は、同支店が金融関係の顧客を多く抱え、ラグゼの客層と合致することから決定。「もともとラグゼ銀座マロニエがECC事業本部カンパニー内に設置されたのは、顧客として法人営業先のVIPなどを想定していた」ためで、自然な流れという。営業の際に紹介を受ける機会もあるといい、今後は同支店の営業スタッフが販売を担当する。既存顧客は、地方在住の場合も含めて今後も個別に訪問することで対応する。

 また、サロンを設けないことについては、「開設時はもう少し景気も良かったが、今はそういう時代ではないのではないか」と指摘。その上で、富裕層マーケット取り込みの方法として、「(現在は)需要はあるが、店舗があるから取り込めるわけではない」と説明。KNTツーリストの店舗でも廉価な商品が売れやすいといい、高品質な商品の販売が目的の「トラベル・ブティック」も、制服や内装などを標準のものに切り替えつつあるという。