現地レポート:メコン川クルーズ、インドシナ旅行の新スタイル
インドシナ旅行の新スタイル
メコンを行く河川クルーズ
2009年9月20日、インドシナに新たな観光素材が誕生した。インドシナセイルが就航した「ラ・マルグリット号」でベトナムのホーチミンとカンボジアのシェムリアップ間を行く、メコン川の国際河川クルーズだ。今回、ベトナム航空(VN)とインドシナセイル日本総代理店のオーシャンドリームがプレスツアーを実施。現在、メコン川クルーズを取り入れた旅行商品はホーチミンからの日帰りツアーがほとんどであるが、8日間かけて周遊するメコン川クルーズの新しい観光素材としての魅力と可能性を探った。
メコン川で最高水準を誇る“ラ・マルグリット号”
「ラ・マルグリット号」は、ホーチミンとシェムリアップ間を7泊8日間かけて結ぶ。オーシャンドリームによると、同客船はメコン川のクルーズで最高水準のデラックス船として位置付けられており、エグゼクティブルームが2室、ジュニアスイートルームが6室、バルコニー付スタンダードルームが30室、バルコニー無しのスタンダードルームが8室、合計46のキャビンを備えている。メコン川でエグゼクティブルームを有する初の客船となり、メコン川に就航するクルーズ客船として最高水準を誇る。
また、船内のインテリアや設備にも注目したい。船名に名前を冠した、小説「愛人・ラマン」の著者マルグリット・デュラスが愛した1930年前半のフランス領インドシナの船旅をイメージしたコンセプトで、ベトナムとフランス双方の雰囲気が融合したクラシックなインテリアが印象的だ。また、レストランやバーをはじめ、プールやスパ、ジム、図書館も備えている。これまでメコン川に就航するクルーズ客船では見られなかった設備が十分に整っており、船内の時間を快適に過ごすことができる造りとなっている。
さらに、スタッフのホスピタリティも船内で快適に過ごすことができる理由の一つだ。乗客定員約80人に対し、38人のスタッフが乗船客の安全かつ快適な船旅をサポートしており、彼らのフレンドリーな対応が船旅を楽しいものにしてくれる。船内でスタッフと顔をあわせると笑顔で声を掛けてくれることはもちろん、何気なくバーに立ち寄った際にもすぐにスタッフが声を掛け、飲み物を勧めにきてくれた。船旅が終わって下船する時には、スタッフとの別れに名残惜しい気持ちになるほどだ。
ちなみに、同クルーズを運航するインドシナセイルは、ベトナムのハロン湾のジャンク船のなかでも最高クラスの客船を有し、1泊2日クルーズを運航。日本の旅行会社のツアーでも利用されている。ラ・マルグリット号はホテルの支配人や新規ホテルの立ち上げに携わってきた人物が企画責任者となり、建造した。
川沿いの景色を眺めながらの船旅、エクスカーションはメコン流域の町
河川クルーズは海のクルーズとは違い、航行中の船上から川沿いの景色を楽しむことができるのが醍醐味といえる。船の進みにあわせて過ぎていく村々の風景を眺めていると「メコン川を訪れている」という実感が増す。これは海のクルーズではなかなかできない体験だ。メコン川沿いには多くの村や街が存在しており、人々の生活も垣間見ることができる。時には、川沿いに住む人々が船に向かって手を振ることがあるほど近い距離で、そこに住む人々とコミュニケーションを取ることができるのも、船旅をさらに楽しいものにしてくれるポイントだ。
クルーズ中はほぼ毎日エクスカーションが開催され、こうした川沿いの町を訪れる。素朴な町が多く、「観光地」と呼ぶには少々違和感があるが、その地域ならではの文化や風習、そして訪問者を迎え入れるそこに住む人々の温かさといった、観光地化されていない土地だからこそ味わえる魅力もある。
今回は、ベトナムの「カイベー」という町を訪れた。そこは、まさに「水の都」。参加者からはイタリアのベネチアに似た光景であるとのコメントも聞かれた。生活用品を売る船、野菜や果物を売る船や、それを仕入れに来る船など多くの船が一帯を往来しており、活気がある。その風景を見ていると、この町はメコン川によって栄え、メコン川がここに住む人々の生活の一部なのだということが理解できる。
実は川沿いの町のほとんどは川路が発展していることから陸路が発達しておらず、逆に陸路でアクセスできる場所が少ない。そのため、観光客向けのガイドブックに掲載されることがほとんどなく、観光客が訪れることは少ない。クルーズだからこそ訪れることができる場所が多く、特に旅慣れた旅行者やインドシナ地域のリピーター層には訴求力の高いデスティネーションになるといえるだろう。
船内のアクティビティ、日本人のツアーにはチャーター利用も
エクスカーションのほか、船内では乗船客向けのアクティビティが毎日開催される。夕食後、客室へ戻るとベッドの上に翌日のスケジュールが置かれている。今回は、シェフによる生春巻きの調理講座やカービングなどの体験型のアクティビティ、カンボジアの民族舞踊「アプサラダンス」の鑑賞、映画鑑賞などが開催された。実施時間は1時間から1時間半程度、エクスカーションと夕食までの間や夕食後から就寝するまでの時間に実施され、参加しやすいスケジューリングだ。事前の申し込みは必要なく、体調や気分にあわせて参加できるので、ストレスなく自分のペースで楽しめるのもうれしい。
ただし、船内のインフォメーションをはじめ、各アクティビティの説明、スタッフとのコミュニケーションはすべて英語。そのため、日本人旅行者は「言葉の壁」にぶつかることになるだろう。そこで、日本向けには、船内のインフォメーションや各アクティビティでの通訳などをアレンジできるチャーター利用も提案したい。オーシャンドリーム代表取締役の堅田寛氏によると、実際に先日、日本からのツアーで初めてチャーター利用があったという。いかに日本人にあったサービスを提供できるかが、ツアー造成の鍵となりそうだ。
また、ラ・マルグリット号のクルーズのポイントとして、就航地のホーチミン、シェムリアップともに魅力がある点にも注目したい。クルーズと就航地の素材を組みあわせることで、さらに旅行商品としての「面白み」が高まるはずだ。
なお、河川クルーズは海のクルーズ客船と比べて船体が小さいため、天候に影響されることもある。実際に、今回のツアー中も台風が接近しているとの情報を受け、運航スケジュールが変更になった。安全な航行を最優先としてスケジュール調整があることも、河川クルーズを取扱う上では参加者に伝えたいポイントである。
メコンを行く河川クルーズ
2009年9月20日、インドシナに新たな観光素材が誕生した。インドシナセイルが就航した「ラ・マルグリット号」でベトナムのホーチミンとカンボジアのシェムリアップ間を行く、メコン川の国際河川クルーズだ。今回、ベトナム航空(VN)とインドシナセイル日本総代理店のオーシャンドリームがプレスツアーを実施。現在、メコン川クルーズを取り入れた旅行商品はホーチミンからの日帰りツアーがほとんどであるが、8日間かけて周遊するメコン川クルーズの新しい観光素材としての魅力と可能性を探った。
メコン川で最高水準を誇る“ラ・マルグリット号”
「ラ・マルグリット号」は、ホーチミンとシェムリアップ間を7泊8日間かけて結ぶ。オーシャンドリームによると、同客船はメコン川のクルーズで最高水準のデラックス船として位置付けられており、エグゼクティブルームが2室、ジュニアスイートルームが6室、バルコニー付スタンダードルームが30室、バルコニー無しのスタンダードルームが8室、合計46のキャビンを備えている。メコン川でエグゼクティブルームを有する初の客船となり、メコン川に就航するクルーズ客船として最高水準を誇る。
また、船内のインテリアや設備にも注目したい。船名に名前を冠した、小説「愛人・ラマン」の著者マルグリット・デュラスが愛した1930年前半のフランス領インドシナの船旅をイメージしたコンセプトで、ベトナムとフランス双方の雰囲気が融合したクラシックなインテリアが印象的だ。また、レストランやバーをはじめ、プールやスパ、ジム、図書館も備えている。これまでメコン川に就航するクルーズ客船では見られなかった設備が十分に整っており、船内の時間を快適に過ごすことができる造りとなっている。
さらに、スタッフのホスピタリティも船内で快適に過ごすことができる理由の一つだ。乗客定員約80人に対し、38人のスタッフが乗船客の安全かつ快適な船旅をサポートしており、彼らのフレンドリーな対応が船旅を楽しいものにしてくれる。船内でスタッフと顔をあわせると笑顔で声を掛けてくれることはもちろん、何気なくバーに立ち寄った際にもすぐにスタッフが声を掛け、飲み物を勧めにきてくれた。船旅が終わって下船する時には、スタッフとの別れに名残惜しい気持ちになるほどだ。
ちなみに、同クルーズを運航するインドシナセイルは、ベトナムのハロン湾のジャンク船のなかでも最高クラスの客船を有し、1泊2日クルーズを運航。日本の旅行会社のツアーでも利用されている。ラ・マルグリット号はホテルの支配人や新規ホテルの立ち上げに携わってきた人物が企画責任者となり、建造した。
川沿いの景色を眺めながらの船旅、エクスカーションはメコン流域の町
河川クルーズは海のクルーズとは違い、航行中の船上から川沿いの景色を楽しむことができるのが醍醐味といえる。船の進みにあわせて過ぎていく村々の風景を眺めていると「メコン川を訪れている」という実感が増す。これは海のクルーズではなかなかできない体験だ。メコン川沿いには多くの村や街が存在しており、人々の生活も垣間見ることができる。時には、川沿いに住む人々が船に向かって手を振ることがあるほど近い距離で、そこに住む人々とコミュニケーションを取ることができるのも、船旅をさらに楽しいものにしてくれるポイントだ。
クルーズ中はほぼ毎日エクスカーションが開催され、こうした川沿いの町を訪れる。素朴な町が多く、「観光地」と呼ぶには少々違和感があるが、その地域ならではの文化や風習、そして訪問者を迎え入れるそこに住む人々の温かさといった、観光地化されていない土地だからこそ味わえる魅力もある。
今回は、ベトナムの「カイベー」という町を訪れた。そこは、まさに「水の都」。参加者からはイタリアのベネチアに似た光景であるとのコメントも聞かれた。生活用品を売る船、野菜や果物を売る船や、それを仕入れに来る船など多くの船が一帯を往来しており、活気がある。その風景を見ていると、この町はメコン川によって栄え、メコン川がここに住む人々の生活の一部なのだということが理解できる。
実は川沿いの町のほとんどは川路が発展していることから陸路が発達しておらず、逆に陸路でアクセスできる場所が少ない。そのため、観光客向けのガイドブックに掲載されることがほとんどなく、観光客が訪れることは少ない。クルーズだからこそ訪れることができる場所が多く、特に旅慣れた旅行者やインドシナ地域のリピーター層には訴求力の高いデスティネーションになるといえるだろう。
船内のアクティビティ、日本人のツアーにはチャーター利用も
エクスカーションのほか、船内では乗船客向けのアクティビティが毎日開催される。夕食後、客室へ戻るとベッドの上に翌日のスケジュールが置かれている。今回は、シェフによる生春巻きの調理講座やカービングなどの体験型のアクティビティ、カンボジアの民族舞踊「アプサラダンス」の鑑賞、映画鑑賞などが開催された。実施時間は1時間から1時間半程度、エクスカーションと夕食までの間や夕食後から就寝するまでの時間に実施され、参加しやすいスケジューリングだ。事前の申し込みは必要なく、体調や気分にあわせて参加できるので、ストレスなく自分のペースで楽しめるのもうれしい。
ただし、船内のインフォメーションをはじめ、各アクティビティの説明、スタッフとのコミュニケーションはすべて英語。そのため、日本人旅行者は「言葉の壁」にぶつかることになるだろう。そこで、日本向けには、船内のインフォメーションや各アクティビティでの通訳などをアレンジできるチャーター利用も提案したい。オーシャンドリーム代表取締役の堅田寛氏によると、実際に先日、日本からのツアーで初めてチャーター利用があったという。いかに日本人にあったサービスを提供できるかが、ツアー造成の鍵となりそうだ。
また、ラ・マルグリット号のクルーズのポイントとして、就航地のホーチミン、シェムリアップともに魅力がある点にも注目したい。クルーズと就航地の素材を組みあわせることで、さらに旅行商品としての「面白み」が高まるはずだ。
なお、河川クルーズは海のクルーズ客船と比べて船体が小さいため、天候に影響されることもある。実際に、今回のツアー中も台風が接近しているとの情報を受け、運航スケジュールが変更になった。安全な航行を最優先としてスケジュール調整があることも、河川クルーズを取扱う上では参加者に伝えたいポイントである。
ベトナム航空、成田/ホーチミン線に夜便追加
ベトナム航空(VN)は3月28日から、成田/ホーチミン線を週7便から週12便に増便する
計画だ。午前出発となる現行の便に対して、増便分は19時30分の夜便。一方、復路のホー
チミン発は06時05分発の早朝便となる。今回の増便は、スカイチーム加盟を控えて北米線
との接続利便性を考慮した可能性が高いようだ。
▽VN 成田/ホーチミン線運航スケジュール
・成田発
VN951便 NRT 10時30分発/SGN 14時30分着(デイリー)
VN953便 NRT 19時30分発/SGN 23時30分着(火水金土日)※
・ホーチミン発
VN950便 SGN 00時05分発/NRT 07時50分着(デイリー)
VN952便 SGN 06時05分発/NRT 13時50分着(火水金土日)※
※増便分
取材協力:ベトナム航空(VN)、オーシャンドリーム(インドシナセイル日本総代理店)
取材:本誌 福田えつこ