JTB田川社長とHIS平林社長、店舗展開、価格と価値など対論−トラベル懇話会
ジェイティービー(JTB)代表取締役社長の田川博己氏とエイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役社長の平林朗氏は1月7日、トラベル懇話会の新春講演会で、「店舗展開」「オンライン販売」「価格」「価値」などをテーマに対論した。両者ともに冒頭からビジネスモデル変革の必要性を指摘し、それぞれ具体例、具体案とともに今後の戦略を披露した。
田川氏は、現況について「2006年に分社化した後、出だしは良かったが厳しい状況が続いている」と説明。そして「従来のビジネススキームが成り立たなくなり、改革を進めているが、その際にJTBは構造改革と成長戦略を同時にやる。従来、経営としては一つずつやるものだけど、それでは今の時代にとてもついていけない」とした。改革の大きなテーマは、構造改革が「店舗ネットワークの問題」で、成長戦略は「ウェブ、グローバル、地域交流」といい、人材育成も重要視。その上で、こうした取り組みを続けることで、「現在は『交流文化産業』を標榜しているが、最終的には人の一生にかかわる『ライフスタイル産業』をめざしたい」考えだ。
一方、平林氏は「2年弱前に就任したが、リーマンショック、燃油サーチャージ、コミッションカット、新型インフルエンザ、円高などがあり、激変の環境下だとつくづく感じる」と説明。その環境のなか、HISでは「変化に対応する。対応するためには自らも先回りして変化しなければならず、そういったことを日々やっている」ところだ。現在は、首都圏空港の発着枠拡大後のビジネスチャンスにも備えつつ、「この1年から2年は海外展開に注力している。2009年に100拠点目を設置したが、いよいよ日本人旅行者の受けではなく、現地発のアウトバウンドを拡大していく」方針を示した。
店舗展開とオンライン販売の戦略については、店舗の維持費用が重荷になる一方でオンライン販売が拡大。「この2年から3年のオンライン販売はかなりの伸び率で、今後取り扱いの半分以上になる可能性が十分にある」(平林氏)というほどの成長力があるものの、「新規需要を高めよう、パスポートの取得率を上げていこうとした時には店舗を作っていかないと難しい」(同)といったジレンマは業界に共通する悩みだろう。
このジレンマに対して田川氏は、「インターネットは価値を上げるよりも価格を下げるベクトルで動く傾向があり、価値を上げるためには使いにくい」とし、「インターネットを無視することはできないが、使い分ける必要がある」と言及。また、「これまではインターネットとリアル店舗を対比する単純な議論だったが、インターネットで完結する商売と、インターネットを道具として利用して店舗とクロスチャンネルで展開する商売とを整理する必要があるのではないか」と主張。その上で、「価値あるものをしっかりと提供できる体制を作ること」が重要とし、「店舗のあり方や機能も抜本的に見直す必要がある」と語った。
なお、会場は「新春講演会初の満員」(総合司会・トラベル世界代表取締役社長の今真純氏)。対論はダイヤモンド・ビッグ会長の西川敏晴氏の司会進行のもと1時間半超にわたって続き、大勢の出席者が熱心に聞き入っていた。
田川氏は、現況について「2006年に分社化した後、出だしは良かったが厳しい状況が続いている」と説明。そして「従来のビジネススキームが成り立たなくなり、改革を進めているが、その際にJTBは構造改革と成長戦略を同時にやる。従来、経営としては一つずつやるものだけど、それでは今の時代にとてもついていけない」とした。改革の大きなテーマは、構造改革が「店舗ネットワークの問題」で、成長戦略は「ウェブ、グローバル、地域交流」といい、人材育成も重要視。その上で、こうした取り組みを続けることで、「現在は『交流文化産業』を標榜しているが、最終的には人の一生にかかわる『ライフスタイル産業』をめざしたい」考えだ。
一方、平林氏は「2年弱前に就任したが、リーマンショック、燃油サーチャージ、コミッションカット、新型インフルエンザ、円高などがあり、激変の環境下だとつくづく感じる」と説明。その環境のなか、HISでは「変化に対応する。対応するためには自らも先回りして変化しなければならず、そういったことを日々やっている」ところだ。現在は、首都圏空港の発着枠拡大後のビジネスチャンスにも備えつつ、「この1年から2年は海外展開に注力している。2009年に100拠点目を設置したが、いよいよ日本人旅行者の受けではなく、現地発のアウトバウンドを拡大していく」方針を示した。
店舗展開とオンライン販売の戦略については、店舗の維持費用が重荷になる一方でオンライン販売が拡大。「この2年から3年のオンライン販売はかなりの伸び率で、今後取り扱いの半分以上になる可能性が十分にある」(平林氏)というほどの成長力があるものの、「新規需要を高めよう、パスポートの取得率を上げていこうとした時には店舗を作っていかないと難しい」(同)といったジレンマは業界に共通する悩みだろう。
このジレンマに対して田川氏は、「インターネットは価値を上げるよりも価格を下げるベクトルで動く傾向があり、価値を上げるためには使いにくい」とし、「インターネットを無視することはできないが、使い分ける必要がある」と言及。また、「これまではインターネットとリアル店舗を対比する単純な議論だったが、インターネットで完結する商売と、インターネットを道具として利用して店舗とクロスチャンネルで展開する商売とを整理する必要があるのではないか」と主張。その上で、「価値あるものをしっかりと提供できる体制を作ること」が重要とし、「店舗のあり方や機能も抜本的に見直す必要がある」と語った。
なお、会場は「新春講演会初の満員」(総合司会・トラベル世界代表取締役社長の今真純氏)。対論はダイヤモンド・ビッグ会長の西川敏晴氏の司会進行のもと1時間半超にわたって続き、大勢の出席者が熱心に聞き入っていた。