関空への補給金「凍結」、関西3空港の抜本的解決策求める−橋下知事は歓迎

  • 2009年11月17日
 政府の行政刷新会議は11月16日、10年度予算概算要求のうち関西国際空港への補給金160億円について「事業仕分け」を実施し、「凍結」すべきとの評価を下した。事業仕分けは概算要求の無駄を洗い出すことを目的としたもの。関空への補給金に対しては、経営改善の目的への実効性に疑問符を付け、伊丹、神戸の2空港を含めた抜本的な解決策が得られるまでは凍結とした。

 関空への補給金は前年まで90億円を支払ってきたが、1兆円を超える有利子負債を抱える関空の支援を目的に70億円増の160億円を要求していた。凍結の判断を受け、関空代表取締役社長の福島伸一氏は「大変遺憾であり、非常に残念」とコメント。その上で、補給金は「わが国の成長戦略に直結する関西国際空港の国際競争力の強化に必要不可欠」であり、認められなければ東アジアのハブ空港との競争の中で「大変厳しい状況」になると強調した。

 一方、大阪府知事の橋下徹氏は子供が新型インフルエンザに感染したため公務を自粛していたものの、「補給金の凍結は、長期的に見れば関西のためになる」と歓迎のコメントを発表。「その場しのぎの戦略性のない補給金」が凍結されれば、関西3空港の役割分担を含めて、関空の戦略の議論が進むと期待した。その上で、伊丹を廃止して大阪市中心部と関空をリニアモーターカーで接続するアイディアを改めて示し、そうした戦略を明示することで「過渡的措置として補給金を関空に出すことは、国民も理解してくれる」とした。

 一方、戦略を明示した上で補給金が認められなければ「もはや関空は破綻の道しか残されていない」とし、関空に対して府から税金を投入することを「一切止める」と強調した。


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