JAL再建は再生支援機構を活用へ−前原大臣、運航継続を重要視

  • 2009年10月30日
 日本航空(JL)は10月29日、国土交通大臣の前原誠司氏の指示を受け、企業再生支援機構(支援機構)に再生支援を依頼し、再生支援に関する事前相談を開始した。これは前原氏直属組織である「JAL再生タスクフォース」が同日、前原氏に対して「再生は可能」である一方、「再生には相当規模の資金と企業統治に関する強い権能が必要」で、支援機構の活用が適切と報告したことを受けたもの。タスクフォースは報告とともに再生計画案を提出したが、実際の再建は、支援機構が今後独自の資産査定に基づいて策定する計画によって実行されることとなった。

 前原氏は報告を受けた後の会見で、「日本の空の便の6割以上をJLが運航している。万が一JLが飛ばないようなことになれば、日本の経済や外国との交流に極めて大きな支障が生じる。一企業であるが、公的色彩の強い企業」と再建を支える意義を強調。支援機構の活用を選択した理由については、別に会見したタスクフォースリーダーの高木新二郎氏が、「再建にはかなりの規模の資金が必要」で民間では巨額の資金を拠出できないことが大きいと説明。また、信用不安から諸経費の現金払いなどの事態に発展し、より巨額の資金が必要になることもあり、結果的に「飛ばない」事態を避けることができるという。

 支援機構は、有用な経営資源を持ちながら過大な債務を負っている企業を再建するために政府が立ち上げた組織で、今年10月16日から事業を開始。対象とする企業について「3年以内の事業再生が見込まれる」ことを条件としている。当初は、タスクフォースが10月末までに再建計画を策定して大臣の確認を得た後、指名があればタスクフォースのメンバーが11月1日から計画を推進する予定であったが、今後は支援機構が独自に資産を査定しなおし、それに基づいて支援の可否を決定することになる。

 なお、旅行会社にとっては10月中の再生計画策定が実現せず、運航路線の詳細が見えない状況が続くため、パッケージツアー造成への影響が懸念される。ある大手ホールセラーでは、JLの営業担当者から散発的に路線存続に関する情報を伝えられてはいるものの、手探りで作業を進めているという。「一つ間違えれば会社がなくなってしまう」(タスクフォースサブリーダーの冨山和彦氏)ほどの危機的状況ではあるが、パンフレットの印刷や座席の仕入れ交渉もあり、支援機構の計画の早期策定が望まれる。


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