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国交省成長戦略会議、LCCや首都圏空港の拡充など議論−11年度予算に反映へ

  • 2009年10月27日
 国土交通省は10月26日、「成長戦略会議」の第1回会合を開催し、会議の基本的な方向性を確認したほか航空分野での議論を開始した。成長戦略会議は、「港湾の競争力」「観光立国」「オープンスカイ、航空行政の競争力強化」「建設、運輸産業のさらなる国際化」のテーマで、各分野での成長に向けた戦略を検討するもの。第1回会合の冒頭、国土交通大臣の前原誠司氏は、「国土交通省が所管する産業分野はまだまだ成長余力を持った分野がたくさんあり、これを伸ばすことこそ日本の国家の基盤がしっかり確立でき、国の発展につながる」と挨拶。会議は来年1月頃までに分野ごとの議論を進め、4月までに各分野の議論の成果をさらに議論し、6月に最終報告を取りまとめて2011年度の予算要求に反映する方針だ。

 今回は、座長を務める武田薬品工業代表取締役社長の長谷川閑史氏と、座長代理のボストンコンサルティンググループ日本代表の御立尚資氏がプレゼンテーションを実施。御立氏は、日本航空(JL)で14年以上勤務した経験も踏まえて、航空に関する論点を整理。まず、基本的な姿勢として「鉄道を含めた交通ネットワーク全体での利便性」や、価格と価値のバランスの選択可能性、安全性など消費者の視点が重要と指摘。また、航空業界だけでなく、日本全体の成長を見すえるべきとし、空港拡張や維持、管理などでの費用対効果の高い国民負担のあり方なども留意が必要と語った。このほか、東アジア域内での航空自由化が進む可能性など、将来的に起こり得る変化を先読みした議論も求めた。

 その上で、当面の重要な論点として、「格安航空会社(LCC)」と「首都圏空港容量の拡充と内際ハブ構築」を例示。LCCについては、国際線LCCを受け入れる空港の選定と支援や参入促進策、国内線LCCの確立などについて検討する必要があるという。また、首都圏空港については「羽田の発着枠拡大のチャンスを最大限活用」するべきとし、羽田と成田それぞれが国内線と国際線のハブ機能を持つ必要性を主張。例えば羽田空港にビジネス需要の強い欧米線やアジアの主要路線を設定した上で、羽田空港への距離が近いことから短縮できる時間への対価として成田線と価格差を付け、業務渡航者の利用を見込むアイディアなどを紹介した。

 こうした指摘に対して、出席した委員からは賛意が多く聞かれた。慶應義塾大学商学部教授の中条潮氏は、「羽田のハブ化はこれまでなぜできなかったか。官僚が抵抗したと言われるが、政治家も抵抗していた」と指摘し、「政権交代は千載一遇のチャンス」と強調した。

 なお、長谷川氏のプレゼンテーションは「日本の成長戦略」と題して、繁栄と衰退の岐路に立つ日本は、質的成長と量的成長をバランスよく進めるべきと論じた。また、課題解決策としては、縦割行政の打破や成功事例の有効な活用、ロードマップの策定、国民への説明責任の遂行などを挙げた。