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予算要求4倍、国交省が観光に「本気」−訪日客3000万人めざす

 国土交通省は、10月15日に再提出した2010年度予算の概算要求の中で、観光関連予算を今年度比4.1倍の256億5061万1000円とした。全体の予算を絞る中での増額は、2020年までに訪日外客数2000万人をめざす従来の目標から踏み込み、2000万人の達成を2016年、2019年には2500万人、将来的には3000万人をめざすためのもの。国土交通大臣の前原誠司氏はかねて観光を重要政策として位置づけており、15日の会見でも増額は観光立国に「本気」で取り組む姿勢の表れと強調した。

 具体的には、訪日外客誘致のさらなる強化と充実に向け、「訪日外国人3000万人プログラム第1期(仮称)」を始動し、101億円を投入。「第1期」とは2010年から2013年までを指し、その後も3年間のサイクルで目標達成への計画を策定する。第1期の訪日外客数目標は1500万人だ。また、日本政府観光局(JNTO)の体制強化にも24億円をつけ、海外の拠点数を2010年度中に現在の14ヶ所から21ヶ所に増加。新設する7ヶ所は、韓国のプサン、中国の瀋陽、大連、青島に加え、新興市場であるクアラルンプール、ニューデリー、モスクワ。副大臣の辻元清美氏が14日の会見で説明にした「アジア・新興市場重視」の方針が現れている。

 計画では、各期のプランや詳細な目標、政策の概要は、今月内の設置を予定する成長戦略会議で年内に取りまとめる方針。2010年度からは海外プロモーション用の新ロゴとキャッチフレーズの導入を予定しており、JNTOは中期計画の途中となるが、新たな計画を策定する必要がありそうだ。

 また、観光圏など「観光を核とした地域の再生・活性化」は今年度比17.34倍となる108億3688万7000円とし、特に「国際競争力の高い魅力ある観光地の整備促進事業」は18.49倍の107億7318万1000円を設定し、観光圏整備事業費補助で景観などハード面の整備を対象に含めるほか、事業費補助の割合を4割から6割に、期間を原則2年から3年にそれぞれ引き上げた。観光統計も6倍以上となる7億円を用意。また、MICEの開催・誘致の促進、国際会議場・展示会場のあり方の検討に7億円、訪日外国人旅行者のニーズに即応する体制・環境づくり支援は2億円とした。さらに、休暇所得の促進・分散化に向けた実証実験を7000万円で実施する考えだ。