前原大臣、羽田をハブ空港に−成田との一体的運用は変えず「WIN-WIN」で

  • 2009年10月14日
 国土交通大臣の前原誠司氏は10月13日の会見で、羽田空港の国際化を進め、24時間運営の国際ハブ空港化する考えを説明した。これは仁川など近隣諸国のハブ空港に旅客が流れているとの問題意識に基づくもので、来年10月を予定する羽田空港の第4滑走路完成をきっかけとして国際化を進める。これにより、従来採られてきた国際線は成田空港、国内線は羽田空港を基本とする「内際分離」の原則は廃止されることになる。ただし、すでに各国との航空協議が進んでいることなどから、具体的なスケジュールは「時間をかけながら詰めていきたい」と言及。また、成田と羽田の関係についても「首都圏空港一体化でのWIN-WINの議論をしていきたい」と配慮する姿勢を見せた。

 羽田空港では、第4滑走路完成後に昼夜合わせて11万回分の発着枠が増加する。昨年5月の「首都圏空港における国際航空機能拡充プラン(冬柴プラン)」では、11万回のうちの約6万回を国際線に振り分ける方針が示されていた。ただし、約6万回のうちの約3万回は、成田空港が閉鎖されている23時から翌朝6時までの深夜早朝時間帯であるなど、あくまで首都圏の2空港を一体的に運用することを主眼としていた。

 前原氏は具体的な方針を示していないものの、羽田空港のハブ化が進むと仮定すると、増枠分から国際線に振り分ける発着枠が増加すると考えられる。また、国土交通省東京航空局によると、滑走路と同時に供用開始予定の国際線ターミナルは、2008年の国際線旅客数236万人を大きく上回る700万人の利用を想定して設計しているといい、インフラ面での制約はないようだ。

 こうした考えに対して、東京都や経済界から歓迎の声が多く聞かれる一方、反対意見も続出している。周辺の市町からなる成田空港圏自治体連絡協議会は13日に緊急会合を開催し、発言撤回を求めて早期の申し入れを実施することで合意。会合では、「唐突。もっと地元のことを勉強して発言してもらいたかった」といった旨の発言があったという。千葉県知事の森田健作氏も14日に前原氏と会談する予定だ。

 ただし、前原氏は13日の会見で、成田との一体的運用は「これからも続けていきたい」とし、地方空港を含めた「WIN-WIN」の関係を強調していることから、今後の意見のすり合わせも注視する必要がある。