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「旅行業もリスクを友に」−インフル第2波も消費者の心理捉え冷静な対応を

  • 2009年9月24日
 JATA国際観光会議の「ツーリズムと危機管理」シンポジウムが9月18日に開催された。近畿日本ツーリスト(KNT)専務取締役の越智良典氏、タイ国政府観光庁(TAT)政策・企画担当副総裁のスラポン・サウェートセラニー氏、国際リスクマネジメント・コンサルタントで亀屋代表取締役社長の山崎正晴氏が登壇し、それぞれの立場から旅行業における危機管理の体制や方法について議論。この中で山崎氏は、テロや天災、犯罪などのリスクを「友」として捉える考え方を提案。また、越智氏も消費者の心理に合わせた対応が必要とし、「シートベルト付き海外旅行」をねらう考えを説明した。

 山崎氏は、リスクを「友」とする方法として、リスク情報の提供や有事に備えたバックアップ体制の確立、リスクに見合った追加安全策などを付加価値サービスとして提供することを例示。消費者はリスクと価格を比較した場合、安全性や信頼性を重視する傾向があることから、こうしたサービスが売上や利益の増加につながるとの考えだ。越智氏の「シートベルト付き海外旅行」も同様の発想で、専門家の裏づけを取って消費者に安全性をアピールするねらいだ。

 また越智氏は、危機的状況の場合、日本の旅行市場の回復が他国より遅い傾向にあることを指摘。リカバリーの時間短縮に向けては、発生直後と再開期の対処に加え、回復期に消費者の心理面に働きかけるポジティブなキャンペーンも必要とした。また、秋以降に予想される新型インフルエンザ第2波の到来に対しては、毒性が弱いのであれば10月から12月も通常通りにオペレーションを続けることが重要との見解を示した。