ESTA、有料化を検討、需要への影響には配慮の姿勢−日本人申請数は170万件

  • 2009年9月24日
 米国大使館は9月17日、1月から義務化した電子渡航認証システム(ESTA)について記者会見を開催し、運用状況について報告した。米国国土安全保障省(DHS)税関・国境警備局(CBP)オフィス・オブ・フィールド・オペレーションズ出入国・搭乗者プログラム次席部長のモーリーン・ドゥーガン氏は、「ESTA実行後全体的に肯定的な結果が出ており、とりわけ日本は遵守率が高い」と言及。現在有料化を検討中で、有料化によって日本人旅行者の渡航の阻害要因になるのではとの質問に対しては「十分理解している」と述べ、「阻害要因にならないようにしたい。徴収する場合にもきわめて少額になる」と回答した。

 ESTAの有料化については法律で認められており、プログラム運用やウェブサイト運営の費用にあてることができるという。導入する際には3000万米ドルの予算を投入しており、ウェブサイトの立ち上げ費用などに使用。システム保障や人件費、広報活動などはすでに予算を超えていることから、今後も運用費用が発生することを説明。手数料についてはすでに検討している段階で、提供するサービス対してかかる費用の分析や関係各所からのパブリックコメントを募集する必要があるとの考えも示した。また、上旬に米国上院で可決された「旅行促進法(TPA:Travel Promotion Act)」は財源の一つとしてESTAの手数料を想定している。

 なお、ESTA導入後も併用している出入国カード「I−94W」については、「今は移行期間」と話し、「技術や規制の問題があるため、体制を整えて来年中には実現したい」と述べる。ESTAの1月からの申請件数は全世界で1130万件で、このうち日本人は170万件の申請があったという。また、日本人の拒否率は0.08%と低く、設問を勘違いして入力するなどのトラブルに留まっているという。


▽旅行会社の代理登録、推奨しないが代理申請は必要との見解

 ESTA申請には個人による登録のほかに、旅行会社などが代理で登録している場合がある。DHSでは第3者による登録を推奨していないものの、インターネットを利用できないなど登録に関する整備が整わない渡航者もいることから、代理業務は必要との見解を示す。一方で、代理申請した旅行会社などが手数料を取って代理申請することについては、本来であれば現在無料での申請となっていることから不必要なコストを支払うことのないように改めて説明した。


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