IATA、債務保証金額などの公認代理店財務要件を緩和−APJCで決議

  • 2009年8月7日
 国際航空運送協会(IATA)は、IATA公認代理店の財務要件を変更する。8月5日に開催したIATA代理店制度合同評議会(APJC)で決定したもの。これにより、債務保証金額の算出期間を短縮、最低保証金額を2段階に設定したほか、債務保証金額の軽減措置の適用条件を一部緩和した。APJCは航空会社8社と旅行会社8社がメンバーを務める組織。旅行会社側は3月からIATAが適用する債務保証制度の新要件に対して軽減を求めAPJCで協議を重ねていた。

 具体的な変更点は3つで、1点目は、BSPキャッシュ取扱高を基準に決済金額の365分の23で算出する債務保証金額を2010年1月1日から365分の21に変更。2点目は、2009年10月1日から最低保証金額は1000万円を基準とするものの、算出した金額が500万円以下の場合は500万円を適用する。最高保証金額は5億円のまま変更しない。3点目は、債務保証金額の軽減措置として新たな払込資本金の条件を設定。8000万円以上1億円未満の会社で自己資本比率10%以上であれば2010年10月1日から軽減措置の適用対象となる。これまで通り払込資本金1億円以上である会社も適用となり、BSP決済に関連した支払の遅延や不足、不履行などの不正行為が過去12年間ないことやIATAの財務基準をクリアしていることは変更しない。

 また、IATA代理店が別のIATA代理店の親会社の場合、連結決算対象で親会社が子会社の67%以上の株を所有し、その子会社がIATA新規取得や経営権変更から1年以上経過していれば、その子会社を含めたグルーピングの債務保証を2010年10月1日から申請できるようにした。ただし、子会社のBSP決済に関連した支払の遅延や不足、不履行などの不正行為がないことも条件となる。なお、債務保証金額の軽減措置には所定の計算式を用いる。

 一部旅行会社に取材したところ、「100%万歳とはいかないが航空会社側も旅行会社側も歩み寄れたのではないか」と話す会社もあった。また、APJCメンバーを定期的に入れ替えたり、決定事項だけでなく問題点や経緯について説明すべきではないかといった意見もあった。日本旅行業協会(JATA)では、IATAからJATAに対して通知がされてからコメントするという。


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