現地レポート:中国、上海
女性やFITに最適のデスティネーション
新旧が交差する街、上海
来年5月から開催される上海万博にあわせ、インフラやホテルの整備が急ピッチで進む上海。国際都市としての成長が注目される一方、古くから残る街並みや建物、それを活かした観光素材が、国内外からの観光客の人気を集めている。今回は、新旧の街並みと文化が交差する上海の観光素材とその楽しみ方を、万博に向けた上海市の取り組みとあわせて紹介する。
世界一の高さから臨む上海の風景
上海ワールドフィナンシャルセンター
昨年8月、浦東地区に超高層ビル「上海環球金融中心(上海ワールドフィナンシャルセンター)」がオープンした。日本企業である森ビルが手掛け、「上海ヒルズ」と称されるこのビルは、地上101階、全長492メートルと、2009年4月時点で台湾の「台北101」に次ぎ、世界第2位の高さを誇っている。ビルの下から全景を見上げても最上階を見ることは難しく、ビル全景を写真に収めることも困難なほどである。
展望台は、94階、97階、100階に設置しており、それぞれ入場料が100元、110元、150元と異なる。各展望台へ行くエレベーターにも注目したい。1秒に8メートル上昇する高速エレベーターで、それがダブルデッキ、つまり2階建て仕様となっており、44台導入している。そのため、多くの観光客を効率的に移動させることができるのだ。また、団体旅行専用のエレベーターホールを有しており、一般客と分かれて案内することができるため、団体旅行にも便利だ。
最上階展望台は地上474メートルで、展望台としては世界一の高さを誇っており、日々進化する上海の街並みを臨むことができる。床の一部は透明のガラス張りとなっており、ガラス越しに地上を走る車をはっきりと見ることができる。ミニカーより小さいその車の姿に「世界一」の高さを実感することができるだろう。展望台に集まる多くの人の賑わいと展望台の高さが、普段の観光以上の「ドキドキ感」を与えてくれる。
ビルの内部は、3階から5階がカンファレンスルーム、7階から77階がオフィスとなっており、中国国内の企業をはじめ、外資系企業も入居している。また、79階から93階はホテル「パークハイアット上海」で、上海の景色を眺めながらの滞在に最適な場所。宿泊に限らず、風景を眺めながらレストランで食事を楽しむことができ、女性やカップルにもおすすめの場所である。目の前には、同ビルを超える高さの高層ビルが建設中であり、今後の建設ラッシュにも目が離せない。
上海の流行の発信地、新天地でショッピングや食事を楽しむ
1920年代の上海に見られたレンガ造りの建物「石庫門建築」や、フランス租界時代の街並みを再現したおしゃれな場所として注目を集めている新天地。昔の上海の雰囲気を感じさせてくれる。
しかし、敷地内に一歩足を踏み入れると、スタイリッシュなカフェや伝統的な上海料理をはじめ、地中海料理レストランが楽しめるレストランやバー、ショップなどが軒を連ねており、流行の発信スポットとして「新しい上海」を感じさせ、多くの観光客や地元の若者で賑わいを見せている。有名ブランドショップや雑貨店、中国茶を販売するショップも多く、観光客のショッピングやお土産の購入にも最適なスポット。まさに「新旧が交差する上海」を一度に感じながら、それぞれの目的にあわせた楽しみ方が満載だ。
また、遅い時間まで営業している店も多く、夜になると広場で生のトランペット演奏などの路上ライブが開催されており、欧米からの観光客や現地の若者で賑わいをみせている。また、その演奏を聞きながらオープンカフェでお茶を楽しんだり、食事を楽しんだりするのもおすすめ。上海を訪れたら、まずは様々なアイテムが揃うこの地区に立ち寄ってみるのも良いだろう。
アートとローカルが融合し、お洒落な雰囲気の街、田子坊
田子坊は上海の「街歩き」に欠かせない街だ。中国政府が芸術家の支援を目的に再開発をはじめ、石庫門住宅の原型を残しつつ改装し、ギャラリーやアトリエ、デザイナーショップ、レストラン、カフェ、バーとして活用している場所で、アートの街からショッピングの街として各国からの観光客の人気を集めている。アートギャラリーや写真スタジオ、服飾や雑貨のアトリエなどが軒を連ねているが、現在も建物の2階部分はそこに住む住人の住宅として利用されているものも多いため、この街の住人たちの生活風景などを見ることができ、どこか懐かしく、温かい雰囲気を感じさせてくれる。そんな雰囲気の街を散策していると、この場所でのんびり過ごしたくなる。そんな時は、街中のオープンカフェでゆっくり過ごすことをすすめたい。
また、雑貨店巡りとしても楽しめる場所である。少数民族の小物を揃える雑貨店や中国テイストを活かしたアクセサリーの店や雑貨の店などもあり、買い物客を飽きさせない。ギャラリーでアートを楽しむ、雑貨店を巡る、街を楽しみながらカフェでのんびりと過ごすなど、幅広い過ごし方ができるおすすめのスポットである。
日本市場の予算は増加、上海市旅遊局の取り組み
上海市観光局は今年3月から4月にかけて旅行会社を対象に上海市内視察研修を企画し、ジェイティービー、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行、ジャルパック、名鉄観光、ANAセールスが参加。エイチ・アイ・エス(HIS)西日本地区では今年4月に入社した新人研修の一環として実施するなど、参加する旅行会社の意向を取り入れた研修旅行とすることで、合計で約240名の参加を得た。
上海市観光局国際旅遊促進室の室長である李彬誠氏は、今後のターゲットについて「女性」「FIT」「ビジネス」とする。具体的な施策として、客層にあった資料、パンフレットを作成、さらに旅行会社を対象にしたセミナーを実施していく予定で、上海旅遊局全体の予算は減少しているものの、日本に対するプロモーション予算は増加したという。
また、上海万博については7000万人の集客を目標とし、このうち海外からは全体の5%(350万人)と予想。5%のうちの30%は日本人の集客を見込み、2010年の2月、3月頃には日本の旅行会社を対象に視察ツアーを実施できるよう、準備を進めている。
予想される混雑へも対策を講じている。場内の最高収容人数は80万人で、平日は40万人、土曜、日曜、祝日は60万人の来場者を見込んでいるというが、混雑を軽減させるため、来場者が60万人に達した時点でゲートを閉め、入場制限を実施する予定であるという。
李氏は、日本の旅行業界に対し「新しい上海を見て最新情報を知り、消費者のニーズにあった商品造成をお願いしたい」と述べるとともに、「上海のブランドイメージを構築してきたい」と、今後の目標を語った。
新旧が交差する街、上海
来年5月から開催される上海万博にあわせ、インフラやホテルの整備が急ピッチで進む上海。国際都市としての成長が注目される一方、古くから残る街並みや建物、それを活かした観光素材が、国内外からの観光客の人気を集めている。今回は、新旧の街並みと文化が交差する上海の観光素材とその楽しみ方を、万博に向けた上海市の取り組みとあわせて紹介する。
世界一の高さから臨む上海の風景
上海ワールドフィナンシャルセンター
昨年8月、浦東地区に超高層ビル「上海環球金融中心(上海ワールドフィナンシャルセンター)」がオープンした。日本企業である森ビルが手掛け、「上海ヒルズ」と称されるこのビルは、地上101階、全長492メートルと、2009年4月時点で台湾の「台北101」に次ぎ、世界第2位の高さを誇っている。ビルの下から全景を見上げても最上階を見ることは難しく、ビル全景を写真に収めることも困難なほどである。
展望台は、94階、97階、100階に設置しており、それぞれ入場料が100元、110元、150元と異なる。各展望台へ行くエレベーターにも注目したい。1秒に8メートル上昇する高速エレベーターで、それがダブルデッキ、つまり2階建て仕様となっており、44台導入している。そのため、多くの観光客を効率的に移動させることができるのだ。また、団体旅行専用のエレベーターホールを有しており、一般客と分かれて案内することができるため、団体旅行にも便利だ。
最上階展望台は地上474メートルで、展望台としては世界一の高さを誇っており、日々進化する上海の街並みを臨むことができる。床の一部は透明のガラス張りとなっており、ガラス越しに地上を走る車をはっきりと見ることができる。ミニカーより小さいその車の姿に「世界一」の高さを実感することができるだろう。展望台に集まる多くの人の賑わいと展望台の高さが、普段の観光以上の「ドキドキ感」を与えてくれる。
ビルの内部は、3階から5階がカンファレンスルーム、7階から77階がオフィスとなっており、中国国内の企業をはじめ、外資系企業も入居している。また、79階から93階はホテル「パークハイアット上海」で、上海の景色を眺めながらの滞在に最適な場所。宿泊に限らず、風景を眺めながらレストランで食事を楽しむことができ、女性やカップルにもおすすめの場所である。目の前には、同ビルを超える高さの高層ビルが建設中であり、今後の建設ラッシュにも目が離せない。
上海の流行の発信地、新天地でショッピングや食事を楽しむ
1920年代の上海に見られたレンガ造りの建物「石庫門建築」や、フランス租界時代の街並みを再現したおしゃれな場所として注目を集めている新天地。昔の上海の雰囲気を感じさせてくれる。
しかし、敷地内に一歩足を踏み入れると、スタイリッシュなカフェや伝統的な上海料理をはじめ、地中海料理レストランが楽しめるレストランやバー、ショップなどが軒を連ねており、流行の発信スポットとして「新しい上海」を感じさせ、多くの観光客や地元の若者で賑わいを見せている。有名ブランドショップや雑貨店、中国茶を販売するショップも多く、観光客のショッピングやお土産の購入にも最適なスポット。まさに「新旧が交差する上海」を一度に感じながら、それぞれの目的にあわせた楽しみ方が満載だ。
また、遅い時間まで営業している店も多く、夜になると広場で生のトランペット演奏などの路上ライブが開催されており、欧米からの観光客や現地の若者で賑わいをみせている。また、その演奏を聞きながらオープンカフェでお茶を楽しんだり、食事を楽しんだりするのもおすすめ。上海を訪れたら、まずは様々なアイテムが揃うこの地区に立ち寄ってみるのも良いだろう。
アートとローカルが融合し、お洒落な雰囲気の街、田子坊
田子坊は上海の「街歩き」に欠かせない街だ。中国政府が芸術家の支援を目的に再開発をはじめ、石庫門住宅の原型を残しつつ改装し、ギャラリーやアトリエ、デザイナーショップ、レストラン、カフェ、バーとして活用している場所で、アートの街からショッピングの街として各国からの観光客の人気を集めている。アートギャラリーや写真スタジオ、服飾や雑貨のアトリエなどが軒を連ねているが、現在も建物の2階部分はそこに住む住人の住宅として利用されているものも多いため、この街の住人たちの生活風景などを見ることができ、どこか懐かしく、温かい雰囲気を感じさせてくれる。そんな雰囲気の街を散策していると、この場所でのんびり過ごしたくなる。そんな時は、街中のオープンカフェでゆっくり過ごすことをすすめたい。
また、雑貨店巡りとしても楽しめる場所である。少数民族の小物を揃える雑貨店や中国テイストを活かしたアクセサリーの店や雑貨の店などもあり、買い物客を飽きさせない。ギャラリーでアートを楽しむ、雑貨店を巡る、街を楽しみながらカフェでのんびりと過ごすなど、幅広い過ごし方ができるおすすめのスポットである。
日本市場の予算は増加、上海市旅遊局の取り組み
上海市観光局は今年3月から4月にかけて旅行会社を対象に上海市内視察研修を企画し、ジェイティービー、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行、ジャルパック、名鉄観光、ANAセールスが参加。エイチ・アイ・エス(HIS)西日本地区では今年4月に入社した新人研修の一環として実施するなど、参加する旅行会社の意向を取り入れた研修旅行とすることで、合計で約240名の参加を得た。
上海市観光局国際旅遊促進室の室長である李彬誠氏は、今後のターゲットについて「女性」「FIT」「ビジネス」とする。具体的な施策として、客層にあった資料、パンフレットを作成、さらに旅行会社を対象にしたセミナーを実施していく予定で、上海旅遊局全体の予算は減少しているものの、日本に対するプロモーション予算は増加したという。
また、上海万博については7000万人の集客を目標とし、このうち海外からは全体の5%(350万人)と予想。5%のうちの30%は日本人の集客を見込み、2010年の2月、3月頃には日本の旅行会社を対象に視察ツアーを実施できるよう、準備を進めている。
予想される混雑へも対策を講じている。場内の最高収容人数は80万人で、平日は40万人、土曜、日曜、祝日は60万人の来場者を見込んでいるというが、混雑を軽減させるため、来場者が60万人に達した時点でゲートを閉め、入場制限を実施する予定であるという。
李氏は、日本の旅行業界に対し「新しい上海を見て最新情報を知り、消費者のニーズにあった商品造成をお願いしたい」と述べるとともに、「上海のブランドイメージを構築してきたい」と、今後の目標を語った。
日々発展する上海市内交通網
日々進化する上海では、公共交通網が急速な
発展を遂げている。現在、8本の地下鉄をはじめ、
バス、リニアモーターカーなどのネットワークが
都市のほぼ全体に行きわたっており、公共交通機
関を使った移動も便利になっている。万博が開催
される2010年には、13本の地下鉄の運行が予定さ
れる予定であり、地下鉄の走行距離は400キロメー
トルを超え、今後さらに交通の利便性が増すこと
になる。また、2010年には虹橋空港に「交通セン
ター」を建設する予定であり、リニアモーターカー
をはじめ、地下鉄、バスなどすべての公共交通機関
の乗り入れを一体化して、空港からのアクセスをス
ムーズにさせる予定であるという。今後、上海市内
はもちろん、上海市郊外へのアクセス利便もさらに
向上するだろう。
取材協力:上海市観光局
取材:本誌 福田えつこ