新型インフル第2段階、旅行会社各社が対策−観光庁やJATAが要請

  • 2009年5月19日
 政府の新型インフルエンザ対策レベルが第2段階に引き上げられたことを受けて、観光庁は日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)などの旅行関係団体、および宿泊関係団体、日本政府観光局(JNTO)、観光庁所管特例民法法人などに向けて今回の対応について通達した。旅行関係団体に対しては、旅行会社各社に向けて「最新情報を入手し旅行参加者に対して周知すること、感染防止策を講じること」を伝えるよう要請したほか、宿泊関係団体に対しては、事業者の事務所や職場などにおいての感染拡大防止のための対応を求めている。

 こうした観光庁からの通達を受け、JATAでは観光庁などの行政機関の情報に基づき、感染拡大を防ぐよう会員各社へ指示。JATA広報室によると、会員の旅行会社では、国内感染が発生した地域で休校が決まった学校の修学旅行の取り消しへの対処などに苦慮している様子という。また、JATA国内・訪日旅行業務部部長の興津泰則氏によると、修学旅行関連では、18日付けで国際観光旅館連盟(国観連)と日本観光旅館連盟(日観連)に文書を送付し、修学旅行の団体を受け入れる際の衛生管理について特段の配慮を求めた。旅行会社に対しても同様の対応を求めており、ウェブサイトでの各社の対応状況の案内のほか、消費者に対して海外旅行の際に手渡す安全情報の書面を作成するなど安全面の配慮を要請した。

 こういった通達により、大手旅行会社各社も新たな対策をとっており、感染拡大の防止や正しい情報の提供を徹底している。また、修学旅行に関しては自治体からの要請などをふまえた学校側からの要望に応じて相談、対応しているようだ。


▽ジェイティービー
大阪府下、および兵庫県下の店舗についてマスク着用を義務付けている。毎朝検温し、本人および家族で発熱している場合は出勤はせず発熱外来などを受診するよう指示している。国内ツアーは催行。またJTB西日本によると、来店者数が減少するなどの影響は現在出ておらず、マスクを着用した人が多少増えている程度だという。

▽日本旅行
正確な情報提供および、感染予防に関する通知を書面にて渡している。また、5月18日から兵庫県、大阪府の直営店舗7支店、日本旅行オーエムシートラベル5支店、日旅サービス2支店の計14店舗でマスク着用を義務付けた。このほか、感染予防策に関するポスターの掲出や消毒用のアルコールを設置。また、社員の感染防止策として、毎朝検温し、発熱などがある場合には出勤しない、通勤時には混雑時間を避けるなどの方針を伝えている。

▽近畿日本ツーリスト
国内ツアーに関して、兵庫県及び大阪府への企画旅行については催行するもののツアータイトルに掲げたイベントが中止となった場合には催行を中止、取消料は徴収しない。このほか、店舗でのマスク着用は現在のところおこなっていないものの社員に対してはうがいや手洗いなどを徹底した。

▽阪急交通社
西日本地区の店舗にマスクは用意しているが、着用は義務付けず現場の所属長に一任。また、国内ツアーは催行しているものの、本人または家族が感染、もしくは濃厚接触して外出を控える必要となった場合には、キャンセルを受け付け取消料は徴収しない。なお、5月17日開催の神戸まつりメインフェスティバルが中止になった影響で17日および18日に神戸に滞在するツアーが2本中止となっている。


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