旅のテーマ:世界のパワースポット(2)ウルル−カタ・ジュタ国立公園(豪州)
アボリジニに返還された“聖地”
オーストラリアの先住民であるアボリジニの人々は、万物に精霊が宿るという「アニミズム」の世界観をもっており、彼らの聖地がオーストラリアの「パワースポット」である。
オーストラリアでは、先住民アボリジニが何千年もの間暮らしてきた土地を収奪して彼らを不毛の地に追いやってきた歴史を反省し、彼らに土地を返還するように政策を変更してきた。その結果、アボリジニの聖地が徐々に知られるようになってきた。オーストラリアのほぼ中央にあり、かつて「エアーズロック」と呼ばれていた巨大な一枚岩も、現在は彼らの言葉で「偉大な石」を意味する「ウルル」に改められた。ウルルは隣接するエリアとともに、ウルル−カタ・ジュタ国立公園の一部。先住民のアナング族が、返還された土地を国立公園としてオーストラリア政府に貸与している形になっている。
聖なる岩山の“声”を聞く
ウルルの周辺にアナング族が住みはじめたのは2万年以上前のこと。砂漠地帯に突然姿を現すこの岩山を、彼らは先祖発祥の聖地と考え、麓や山頂でさまざまな儀式を執り行ない、多くの伝説を語り継いできた。伝説の中で彼らの先祖は、いろいろな動物に姿を変えて大地や人間を作り、その後ウルルにやって来て岩の中に引きこもったといわれている。ウルルがパワースポットと呼ばれる由来は、今でもウルルの中に天地を創造したアナング族の先祖の魂が眠っているとされているからだ。
ウルルには、アナング族の伝説に登場する巨大なニシキヘビで、天地創造の神のひとりである「クニヤ」が棲んでいるとされる水場や、アナング族の先祖によって1000年以上前に描かれた洞窟の壁画などがあり、旅行者もツアーなどで見学することが可能だ。現在はウルルが聖地であるという認識が広まったためか、物見遊山で登頂する旅行者は少なくなり、パワースポットとしてヒーリングを求める人が増えてきている。アナング族の人々も、旅行者がウルルに登ることを認めている一方で「岩に登ってみても岩の本来の姿は見えません。岩から離れて、しばらく耳を傾けてみて下さい。岩の声を聞く事ができるはずです。岩が何を語ろうとしているのかを悟る、これが真に岩を理解する事なのです」と旅行者に訴えている。
特に古代から、森羅万象に神が宿るという神道が受け継がれ、八百万(やおよろず)の神に囲まれ生きてきた日本人は彼らの言葉に共感する人が多く、岩を登るよりも日の出や日の入りの時間帯に刻々と色が変わっていく岩山の姿を眺めるツアーが人気だという。地平線に日が沈もうという瞬間に見せるウルルの燃え上がるような赤い色は、訪れた誰もがここを聖地であることを改めて感じ、深い感動が広がる。今後はパワースポットの「ウルル」としても、ますます知られることになるだろう。
▽オーストラリア政府観光局
http://www.australia.com/jp/
▽今週の旅のテーマ
◆旅のテーマ:世界のパワースポット(1)ビッグ・アイランド(ハワイ島)(2009/04/20)

オーストラリアでは、先住民アボリジニが何千年もの間暮らしてきた土地を収奪して彼らを不毛の地に追いやってきた歴史を反省し、彼らに土地を返還するように政策を変更してきた。その結果、アボリジニの聖地が徐々に知られるようになってきた。オーストラリアのほぼ中央にあり、かつて「エアーズロック」と呼ばれていた巨大な一枚岩も、現在は彼らの言葉で「偉大な石」を意味する「ウルル」に改められた。ウルルは隣接するエリアとともに、ウルル−カタ・ジュタ国立公園の一部。先住民のアナング族が、返還された土地を国立公園としてオーストラリア政府に貸与している形になっている。
聖なる岩山の“声”を聞く

ウルルには、アナング族の伝説に登場する巨大なニシキヘビで、天地創造の神のひとりである「クニヤ」が棲んでいるとされる水場や、アナング族の先祖によって1000年以上前に描かれた洞窟の壁画などがあり、旅行者もツアーなどで見学することが可能だ。現在はウルルが聖地であるという認識が広まったためか、物見遊山で登頂する旅行者は少なくなり、パワースポットとしてヒーリングを求める人が増えてきている。アナング族の人々も、旅行者がウルルに登ることを認めている一方で「岩に登ってみても岩の本来の姿は見えません。岩から離れて、しばらく耳を傾けてみて下さい。岩の声を聞く事ができるはずです。岩が何を語ろうとしているのかを悟る、これが真に岩を理解する事なのです」と旅行者に訴えている。
特に古代から、森羅万象に神が宿るという神道が受け継がれ、八百万(やおよろず)の神に囲まれ生きてきた日本人は彼らの言葉に共感する人が多く、岩を登るよりも日の出や日の入りの時間帯に刻々と色が変わっていく岩山の姿を眺めるツアーが人気だという。地平線に日が沈もうという瞬間に見せるウルルの燃え上がるような赤い色は、訪れた誰もがここを聖地であることを改めて感じ、深い感動が広がる。今後はパワースポットの「ウルル」としても、ますます知られることになるだろう。
▽オーストラリア政府観光局
http://www.australia.com/jp/
▽今週の旅のテーマ
◆旅のテーマ:世界のパワースポット(1)ビッグ・アイランド(ハワイ島)(2009/04/20)