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旅行大手各社の発券手数料−ゼロコミッションで4月1日からの導入、値上げも

  • 2009年3月30日
 ゼロコミッションが4月1日から本格化する。一部米系航空会社はすでに2008年10月1日から旅行会社へのコミッションを廃止したが、4月1日からは日本航空(JL)や全日空(NH)を始め、シンガポール航空(SQ)やコンチネンタル航空(CO)なども廃止に踏み切る。日本旅行業協会(JATA)が「他に類を見ない一方的で不当な措置」と撤回を求める書面をJLとNHに送付するなど反対の意見も多かったものの、流れは変わっていない。旅行会社が「フィービジネス」への転換を迫られるなか、大手旅行会社が「フィー」の額や対象をどのように設定しているか、対応状況を調査した。

 大手旅行会社のうち、ジェイティービー(JTB)では08年10月1日以前から、公示運賃や格安航空券の発券に際し、下限を2100円として航空券券面額に対し20%以内の手数料を徴収。ただし、09年1月に稼働した海外旅行のオンライン予約専門サイト「トルノス」など、オンラインで予約から決済まで完了する場合には手数料を設定していない。近畿日本ツーリスト(KNT)では券種によるものの、目安として3000円程度の手数料を徴収するとしているが、航空券のみを手配する利用客は少ないという。トップツアーでは格安航空券であれば1名1件につき2100円、公示運賃に関してはJTBと同様の方針をとっている。

 日本旅行では、2008年10月1日発券分から旅行費用総額に対して20%以内の手数料の徴収を始めた。旅行費用総額とは航空券運賃のほか宿泊料や他の運送機関などに対して支払う費用のこと。格安航空券をのぞいた普通運賃や正規割引運賃航空券(PEX運賃)などの公示運賃が対象となる。航空券のみの発券の場合は券面額に対して20%以内を手数料として徴収する。従来は航空券の手配を無料でおこなっていたが、一部航空会社がゼロコミッション化したのにあわせて改定した。なお、現在はゼロコミッションとなった航空会社のみを対象としており、このほかの航空会社に関してはゼロコミッションになり次第順次対応する方針だ。


▽4月1日からの導入、徴収額改定も

 阪急交通社では、FIT型の旅行商品を取り扱う「e-very(イーベリー)」で、4月1日から個人を対象に1件につき3000円の発券手数料を徴収する。阪急阪神交通社ホールディングス広報部によると、徴収額は「当面の間は全国一律で3000円とし、今後状況を見ながら判断する」方針。また、法人に対しては旅行会社によって個別の契約を設けていることもあり、一概に上記が全ての基準でない場合もあるという。

 エイチ・アイ・エス(HIS)では2008年11月1日から導入しており、法人と個人で対応を分けている。個人向けには自社で取り扱うディスカウント航空券であれば1名1件につき2100円、公示運賃であれば4200円を徴収。法人向けには公示運賃に対し2000円の手数料を徴収していたが、4月1日からは6300円に改定する。一方で、座席の事前予約や法人顧客専用プライベートデスクによる各種割引特典などのサービスは無料で提供する。