本保長官、設立半年間は「合格点」−中国人個人観光ビザの活用に意欲

  • 2009年3月26日
 観光庁長官の本保芳明氏は3月25日の会見で、2008年10月の発足以来の半年間を振り返り、「3月末までに実現しようとしたことは、数%をのぞいてできてきている」と語り、「合格点に達していないことはない」と控えめの表現ながらこれまでの取り組みに自信を見せた。特に、1月末に策定したアクションプランのうち、新組織の新しい意識と組織文化の創造が一番重要と考えているなかで、「短期間で実現するものではないものの、階層別の懇談会やES調査などで変化の兆しがある」と強調した。

 一方、総務省が3月3日に出した、宿泊施設での外国語対応の充実やビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)事業の効果的・効率的な実施などの改善勧告については、「まずは真摯に受け止めなければならない」と発言。「国際観光ホテル」が十分に機能していないとの指摘については、「制度の仕組みや運用が形骸化しているかもしれない」とし、見直しの可能性も示唆した。ただし、VJC事業は総務省の政策評価が2006年度の事業を対象にしたもので、当時はノウハウ不足や不慣れであったことから効率的ではなかったとの認識。2007年度や2008年度では「劇的に改善されている」とし、2009年度はさらに大幅な改善を盛り込んでいることを強調した。


▽中国人向け個人観光ビザの活用に意欲

 中国人向け個人観光ビザの発給に関係省庁が合意したことも、「観光庁らしい仕事ができた」と説明。観光立国に向けて関係省庁も協力的であったという。個人観光ビザについては、「インバウンドが厳しい中で、具体的なインパクトを相当に期待できる」と語り、「せっかくの好材料をいかに使っていくか(が課題)。きっちりとやっていきたい」と意欲を見せた。

 個人観光ビザは、現在の家族観光ビザを廃止して新たに発給する。開始日は7月1日をめざしており、現在は、中国でビザを申請する旅行会社と日本側で身元を引き受ける旅行会社に適用する細目をつめているところだ。旅行中の失踪の回避のためには発給要件を厳格化するほか、引き受け側の旅行会社へのペナルティ強化を検討。具体的には、現在は5人失踪すると1ヶ月、10人失踪すると1年間の取引停止をペナルティとして課しているが、「2人が一度に失踪すると1ヶ月」といった強化を検討しているという。