第1種の営業利益率0.38%に減少、黒字決算31社減−1人あたり取扱高は増加

  • 2009年2月25日
 日本旅行業協会(JATA)がJATA経営フォーラム2009で配布した「旅行業経営分析」によると、第1種旅行会社(分析対象数:528社)の2007年度の取扱高営業利益率は0.38%となり、過去10年で最高の数値となった2006年の0.55%から0.17ポイント下降した。黒字決算であったのは337社で、前年より31社減少。これらに限ると取扱高営業利益率は0.55%に回復。ただし、前年の0.70%から0.15ポイント下回っている。



 企業の規模別で見ると、最も高い利益率を出していたのは、51名から100名規模の0.74%。次いで、301名から500名規模が0.46%、501名から1000名からの規模が0.45%となった。一方、過去において平均数値よりも高い数値を出していた21名から50名の企業が0.12%で前年の0.89%から大幅に下落。また、101名から300名も前年の0.48%から0.19%に落ち込んだ。ただし、黒字決算の企業に限ると、平均値の0.55%を下回ったのは101名から300名の0.26%と1001名以上の0.46%で、全体では大きく減少した21名〜50名規模も0.84%になっている。

 従業員1人あたりの取扱高は1億393万9000円で、前年より約500万円増加したが、1人あたり営業利益は39万5000円で前年より15万4000円減少。ただし、マイナス計上の企業はない。黒字決算の企業では、1人あたりの取扱高は1億1379万8000円で、1人あたり営業利益は62万1000円となっている。

 なお、1社あたりの平均は、取扱高が前年比5.4%増の136億1833万7000円、営業収入は6.2%増の14億6927万円、営業費は8.0%増の14億1757万7000円、人件費は3.1%増の6億5022万1000円で、営業利益は28.7%減の5169万4000円。1999年以降、営業費が05年に次いで2番目に高額になったほか、人件費は最高値となっており、増加した営業収入を圧迫した結果となった。


▽業態別の営業利益率は業務渡航がトップ、1人あたり取扱高も3位に

 旅行業を本業とし、業態を分類しやすい会社106社を対象とした旅行業業態別経営分析では、黒字計上した会社数は79社で前年から9社減少した。黒字社の内訳は、総合旅行系が7社中7社、商品造成自社販売系が10社中10社、メディア・通信販売社系が13社中7社、リテーラーが21社中13社、インターネット系が10社中4社、業務性旅行特化系が10社中9社、ホールセラーが15社中12者、海外旅行ディスリビューターが13社中11社、海外ランドペレーターが7社中6社であった。

 この黒字企業のみでみると、営業利益率は4.4%で前年より1.1ポイント減少。前年の全体の営業利益率である4.6%をも下回っている(2007年は3.2%)。また、1人あたりの営業利益は黒字企業で56万8000円で前年より8万3000円減少。全体では40万4000円で14万6000円減少した。業種別で営業利益率が最も高いのは、前年に引き続き、業務性旅行特化系で14.5%と前年を0.5ポイント上回った。次いで、海外ランドオペレーターが7.8%、商品造成自社販売系が6.7%。1人あたり取扱高ではホールセラーが2億1611万5000円と最も多く、次いで、インターネット販売系が1億6478万1000円、業務性旅行特化系が1億4600万1000円と続く。


▽取扱高営業利益率の推移(営業利益/取扱高)
1995年/0.07%
1996年/0.20%
1997年/0.12%
1998年/-0.17%
1999年/0.21%
2000年/0.41%
2001年/-0.03%
2002年/0.07%
2003年/0.24%
2004年/0.53%
2005年/0.30%
2006年/0.55%
2007年/0.38%