チャーター戦略はリスク管理が依然重要、課題検討の場設定も

  • 2009年2月25日
 日本旅行業協会(JATA)は2月24日、「JATA経営フォーラム2009」でチャーターの利用拡大をテーマとした分科会を開催した。これは、昨年末の国土交通省によるITCチャータールールの大幅緩和を有効に活用するためのもの。分科会では、チャーターのリスクについての意見が多く出されており、規制が緩和された後もリスク管理が主要な課題であることが提示された。ただし、分科会にはコメンテーターとして国土交通省航空局監理部航空事業課長の篠原康弘氏も登壇し、行政の取り組みやリスクの軽減の可能性を説明。そのほか、旅行会社の登壇者も個札販売枠の拡大などがビジネスの拡大につながる可能性を指摘した。

 リスクとして指摘されたのは、従来と同じ座席を売り切れない可能性のほか、外国航空会社やその日本地区総代理店(GSA)の信用性など。地方の場合には、定期便の就航を前提に旅行会社がチャーター便を設定、その後実際に定期便が実現しても採算の問題から数ヶ月で撤退してしまう可能性にも言及された。また、定期便の航空運賃との兼ね合いなども課題として指摘された。

 これらに対して、販売面ではJATAから複数の旅行会社がリスクを分散できる有限責任事業組合(LLP)の制度の活用案を紹介。また、GSAについて篠原氏は、現在のところ「つてがない」ものの、旅行会社や航空会社、就航地など関係会社・団体がすべてWIN−WINの関係を構築できることが重要と説明。旅行会社のニーズを把握する場が必要であれば、「現在は白紙」としつつ検討すると言及した。

 なお、分科会では、VWC推進室副室長の田端俊文氏がモデレーターを務めたほか、篠原氏と近畿日本ツーリスト執行役員旅行事業創発本部海外旅行部長の權田昌一氏、ひろでん中国新聞旅行取締役会長の松江洋氏がコメンテーターとして登壇した。