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観光庁、商習慣の監視強化、約款のあり方も議論へ−魅力的な旅行商品創出で

  • 2009年2月17日
 観光庁は、旅行会社とツアーオペレーターなどとの取引関係の確認を強化する方針だ。また、旅行業約款も、多様な旅行商品に対応できるあり方について日本旅行業協会(JATA)などと議論する。これまで3回に渡って開催してきた「魅力ある海外旅行商品の創出のための環境整備に関する意見交換会」であげられた課題に対して、観光庁が行政として取り組む分野と方針を示した。民間側からはJATAが、関係機関との情報交流の促進や現在の環境に対応できるビジネスモデルの整備、定着などを進める方向で検討する。

 これまでの意見交換会では、海外ホテルのデポジットの問題、航空券の発券期限や取消料規定の厳格化、アロットメントの消化率と返却時期、旅行業者とツアーオペレーターとの関係といった課題が挙げられた。旅行業約款については、約款上の取消料の発生のタイミングと、ホテルや航空会社、クルーズ船社のデポジットや取消料発生のタイミングとの時間差が、旅行会社のリスクになることも指摘されていた。

 観光庁では、こうした議論をふまえて今後の検討の方針を策定。旅行会社とツアーオペレーターなどとの関係については、適正な関係の構築を促進。例えば旅行業者の更新登録の際に、ツアーオペレーターとの取引関係や頻度など従来よりも詳細な情報を確認する考え。また、定期監査を含む立入検査の際に、支払い遅延や発注書面の不交付など、下請代金支払等防止法(下請法)違反の疑いがある場合は、公正取引委員会と中小企業庁に通報することを内部規則に盛り込むことを検討する。

 旅行業約款については、フライ&クルーズの商品や、航空会社やホテルを確約する商品などに対応した約款のあり方や方法論について、今年度末までをめどにJATAなどと議論。その結果として必要があれば、関係者による検討の場を別途設ける考えだ。このほか人材育成も促進する方針で、特にデスティネーション・スペシャリスト養成講座の支援なども検討する。


▽JATAはグローバルスタンダードへの対応など検討

 JATAは民間の立場から、魅力ある海外旅行商品の実現に向けて旅行会社の企画力の向上や添乗サービスの再評価、手仕舞方式による手配からの脱却、旅行代金の明確性の確保などを取り組むべき課題としてあげた。こうした課題に対して旅行業界としてできることとしては、例えば企画力の向上では政府観光局やツアーオペレーター、添乗員との情報やノウハウの交流の促進を例示。また、新たな航空運賃の体系に対応可能なビジネスモデルの整備や、「買い入れたものを売り切る」ビジネスモデルの定着も必要とした。JATAでは、今回の意見交換会での議論を前提に、JATAとしての対応策を検討していく方針を示したという。


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