一橋大学、MBAコースに観光関連の2科目を設置−観光業の中核人材育成へ

同プログラムは将来、ホスピタリティ産業を牽引する経営幹部候補や、地域づくり、町おこしなど地域経営をになう地域のリーダー候補の育成が目的。MBAはビジネススクールの一種ととらわれるが、同プログラムでは文化や経営の考え方、哲学を含めて実務に役立つ教育と、企業のニーズにあった人材育成を重視する。同大学商学研究科研究科長の山内弘隆氏によると、日本のMBAコースに観光業の経営者を育成するプログラムが設けられるのは「ほかに前例がない」ことで、同大学のHMBAの場合、修士号が与えられる。山内氏は、工学系ではこの20年ほどでマスターを取得して就職するケースが通例になりつつあることに触れ、「それは企業が学生に高度なスキルや知識を求めるようになったから。マネジメント分野でも社会的な制度化が到来することがあるだろう。われわれの大学がやらなくては日本の大学はできない」と、意気込みを語った。
現在、同大学のHMBAコースには80名の学生が在籍しており、そのうち既卒者が半数。山内氏によると、企業とのコラボレーションを強めるため、計画では既卒者の半数以上を企業からの派遣者にしたい考えだ。同プログラムに支援したJTBでは全社員からの公募により、1名の派遣を決定しているほか、JR東日本も企業派遣を検討しているという。山内氏は「支援によるものなので、5名程度が限界か」との考えだが、「クオリティの高い人材を育て、その5名が業界を引っ張ってもらえれば効果が出る」と自信を示した。