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「世界の高速鉄道」(3)−イギリス、ベルギー、オランダ

  • 2008年12月25日
 現在、EU加盟国では、人や物のスムーズな移動を目的とした、交通ネットワークの整備が進められており、高速鉄道においても、他の輸送機関との競争力強化を図るために、さらなる高速化と国際化を進めている。フランスやドイツのような国内ネットワークの充実とともに、国際列車の高速化も盛んになっている。





【イギリス】
 最も知られているのは1994年に運行を開始した「ユーロスター(Eurostar)」だろう。ドーバー海峡の下を通るユーロトンネルを使い、イギリス、フランス、ベルギーの3ヶ国を結ぶ。ロンドンに滞在しながら、簡単にパリやブリュッセルへ日帰りで訪れることができるようになったのは、ユーロスターのおかげ。ロンドンから毎日運行されている「ディズニートレイン」に乗車すれば、ディズニーランド・パリへも日帰りでの旅行が可能だ。

 2007年11月、イギリスの高速新線がロンドンまで全線開通し、発着駅もウォータールー駅からセントパンクラス駅に移転した。運行開始当時はパリ、ブリュッセルまでおよそ3時間かかっていた所要時間も、現在ではロンドン/パリ間は2時間15分、ロンドン/ブリュッセル間は1時間51分に短縮され、その利便性は他の交通機関を圧倒している。

 ユーロスターは、その利便性だけでなく、車内サービスも評価が高い。ファーストクラスにはビジネス需要に対応するビジネスプレミア席、観光客にはレジャーセレクトという座席が設けられ、移動の目的に合ったサービスが受けられるのもこの路線の魅力となっている。

 なお、イギリス国内に限ったネットワークを見ると、高速鉄道について現在は計画段階だ。


【ベルギー、オランダ】
 ユーロスターに先だち1996年、パリとブリュッセル、アムステルダム間で営業運転を開始、翌年にはケルンまで乗り入れた国際列車が「タリスThalys」だ。現在、パリ/ブリュッセル間は1時間25分、ブリュッセル/アムステルダム間は2時間40分、パリ/ケルン間を4時間で結んでおり、2009年はじめには、パリ〜ケルンをさらに41分短縮させ、3時間9分で結ぶ予定だ。

 北西ヨーロッパの主要4都市を日帰り圏内にしただけでなく、パリでTGV、ブリュッセルではユーロスター、ケルンでICEに乗り継ぐことが可能であり、ヨーロッパの高速鉄道網の中核ともいえる列車である。

 スキーシーズンには「タリススキー」としてアルプス方面へ、夏のリゾートシーズンには、アムステルダムまたはブリュッセルからマルセイユまで乗り入れており、ビジネス目的の利用にとどまらず、レジャーでも大活躍している。ヨーロッパの都市をダイレクトに結ぶ高速鉄道を利用することで、ロンドンやパリ、アムステルダムなどの大都市を起点とした旅の多様化がいちだんと進みそうだ。


▽関連サイト
■ユーロスター公式サイト(英語)
http://www.eurostar.com/dynamic/index.jsp

■レイルヨーロッパのユーロスターページ
http://japan.raileurope.com/japan/rail/eurostar/index.htm

■タリス公式サイト(英語・フランス語)
http://www.thalys.com/

■レイルヨーロッパのタリスページ
http://japan.raileurope.com/japan/rail/thalys/index.htm


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「世界の高速鉄道」(2)−ドイツ・ICE(2008/12/24)

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