観光庁、アウトバウンドに本腰、VWCとの連携など振興策骨子を決定

振興策は、これまでに取り組んできた施策も含めて、「ビジネス環境の整備」、「国民の海外旅行容易化」、「若年層向け対策」の3本柱にまとめた。ビジネス環境の整備は、商習慣のグローバル化に向けた課題整理や、すでに実現したITCチャータールールの規制緩和を含む。海外旅行の容易化は、諸外国のビザ制度の見直しやパスポート取得の容易化、休暇所得の促進を進める。ビザ制度は、アメリカのESTA(電子渡航認証システム)の運用改善や、特にロシアとインドに対して日本人の観光ビザ取得義務の緩和を要請する。また、ユニバーサル・ツーリズムの観点から、外国の政府観光局や旅行業界と連携し、高齢者や障害者、乳幼児連れ家族などが海外旅行に行きやすい環境の整備も実施する。
若年層向けの対策では、政府の留学生30万人計画と連携し、外国人留学生のネットワークを活用するほか、教育関係者との連携による若年層の国際相互理解増進に向けた取り組み、ワーキング・ホリデー制度の活用、海外修学旅行の拡大に向けた環境整備、外国政府観光局の日本市場向け観光親善大使の活用などを進める考え。若者向け割引航空券の設定も要請する。
なお、JATA常務理事でワールド航空サービス代表取締役社長の菊間潤吾氏は、これらの方針に対して「アウトバウンドに行政がここまで踏み込んでくれるとは感無量。歴史的な日だ」とコメント。JATA副会長でジェイティービー代表取締役会長の佐々木隆氏も、こうした動きが観光庁の設立によるものと分析し、歓迎した。
▽VWCと連携し観光交流年やクルーズ振興など推進−2010年交流年はトルコ
VWCとの連携では、(1)観光交流年、(2)クルーズ振興、(3)ODA予算やビジット・ジャパン・キャンペーン事業を通じた連携、(4)VWCの重点デスティネーション協議会への参加、(5)在日外国観光局協議会(ANTOR-JAPAN)との意見交換会の実施、(6)VJCの重点市場国と新興市場国で両国の政府と観光局が一体的に連携し、2国間の交流拡大をはかる仕組みの構築、(7)JATA国際観光会議と世界旅行博への協力の7項目を列挙。
観光交流年は、すでに2009年を香港に決定し、オープニングイベントやサマーキャンペーン、両国の若者の文化交流を目的とした大規模博覧会の開催を予定している。2010年はトルコと観光交流年を実施することが決定したという。
また、クルーズ振興では、クルーズ利用者を対象にした市場調査や入国審査の円滑化、JATAクルーズ部会や全国クルーズ客船誘致連絡会などとの連携、VJC事業での客船誘致を進める方針だ。
※訂正案内 (編集部 12月22日 10時50分)
当初、菊間氏の名前の漢字を間違えて記載しておりました。訂正するとともに、お詫びいたします。