日本旅行業協会（JATA）が10月下旬から11月中旬にかけて実施した「旅行市場動向調査」によると、業況をあらわすDI値は、3ヶ月前の前回調査時の見通しのマイナス66ポイントとほぼ同じレベルとなるマイナス64ポイントであった。DI値はこの1年間、旅行会社の形態別、顧客層別、デスティネーション別ともマイナス値で推移し、苦境の1年間であったことを示している。なお、今回の調査は、バンコクでの空港閉鎖、ムンバイでのテロ事件を考慮したものではない。

　3ヶ月後の業況予測では、業態別では総合旅行会社、海外旅行ホールセラー、海外旅行系旅行会社、旅行業の取扱額30億円超のリテーラーが上向きを予測するものの、「普通」を示すゼロを下回る水準。苦境にあるなかで、円高の為替相場や燃油サーチャージの低下などが期待値となっているものの、経済状況の見通しが悪いことから、厳しい見方が多い。

　顧客層別でも多くがマイナス50ポイント以下を推移し、好材料が見つからない。唯一、マイナス水準であるものの、学生旅行が1月から3月にシーズンを迎えることから、現在のマイナス82ポイントからマイナス68ポイントに回復する見込み。デスティネーション別でもほぼ同様で、アジアが現在がマイナス48ポイントとなる以外はマイナス50ポイントを下回り、3ヵ月後は全てがマイナス50ポイント以下を示している。

　JATAではこうした危機的な状況において、来年2月の経営フォーラムにおいて、「危機を乗り越えて生き残るための策、知恵を絞るというテーマを検討している」として、会員各社の経営への支援となる会にしたい考え。また、JATAの来年度事業計画でも、厳しい環境を認識しつつ、景気回復を視野にいれながら次なる成長に向けた策を練っていく。


※DI値は設問事項に対し、「良い」、「普通」、「悪い」、「取扱なし」の4回答を用意、この回答からシェアを算出するもの。「全て良い」場合にはプラス100となる。


▽海外旅行全般DI値（3ヶ月前／現在／3ヶ月後）
全体／-62／-66／-69
総合旅行会社／-81／-81／-69
海外旅行ホールセラー／-82／-87／-83
海外旅行系旅行会社／-64／-64／-55
リテーラー1／-73／-80／-76
リテーラー2／-60／-53／-68
インハウス／-36／-54／-64

▽顧客層別DI値（3ヶ月前／現在／3ヶ月後）
ハネムーン／-63／-56／-62
ファミリー／-67／-78／-80
OL／-73／-72／-73
学生／-74／-82／-68
シニア／-38／-51／-53
インセンティブ／-58／-72／-77
商用・視察／-28／-51／-57

▽方面別DI値（3ヶ月前／現在／3ヶ月後）
ハワイ／-67／-67／-71
アメリカ・カナダ／-68／-65／-75
ヨーロッパ／-49／-57／-63
オセアニア／-80／-73／-77
ミクロネシア／-57／-62／-62
中国／-70／-71／-71
アジア／-41／-48／-50