原油価格の下落が続いており、シンガポールケロシン市況は12月2日現在のところ1バレルあたり61.3米ドルとなり、最高価格をつけた181.6米ドルから約3分の1の価格となってきている。航空各社は日本発券分の燃油サーチャージ引き下げを相次いで申請しているが、クルーズ各社は廃止に向けて動いている。

　ロイヤル・カリビアン・クルーズ（RCI）は2009年1月1日以降に出港するクルーズから、燃油サーチャージを廃止する。10月には2010年1月1日以降の廃止を発表していたが、原油価格の値下がりを受けて決定した。12月8日以降の新規予約、かつ2009年1月1日以降に出港するクルーズから、燃油サーチャージの徴収を中止。12月8日以前に予約した2009年1月1日以降のクルーズの対応は、既に全額支払い済みの場合はクルーズ中にオンボードクレジットで返金、全額支払いを済ませていない場合は燃油サーチャージ分を請求しない。

　カーニバル・コーポレーション＆PLCでも、プリンセス・クルーズやキュナード・ラインなど傘下の各社で、12月17日以降に出発するクルーズから燃油サーチャージの徴収を一時停止する。同社もすでに徴収済みの燃油サーチャージについてはオンボードクレジットで返金し、最終の支払期限前の場合は、燃油サーチャージ分を差し引いて請求書を再発行する。

　なお、RCIではウエスト・テキサス・インターミディエイト（WTI／アメリカ産標準油種）のニューヨーク商品取引所の終値が65米ドル以上になった場合、燃油サーチャージの徴収を再開することもあるという。また、カーニバル・コーポレーション＆PLCでも、ニューヨーク商品取引所の原油価格が1バレル70米ドル以上になった場合、1人1泊あたり9米ドルの燃油サーチャージを導入する方針だ。


▽リージェント・セブンシーズも燃油サーチャージを廃止へ

　リージェント・セブンシーズ・クルーズなどの親会社プレステージ・クルーズ・ホールディングス（PCH）は、2009年に出発する全てのクルーズの燃油サーチャージを廃止することを決定した。PCHは11月10日付けで、2010年1月1日以降に出発するクルーズの燃油サーチャージを廃止する方向を発表。ただし、このところの原油価格の急速な下落から、燃油サーチャージ廃止を当初の予定を前倒しした。今後は原油価格が1バレル65ドル以下の場合、燃油サーチャージを徴収しない方針だ。

　なお、2009年に出発する全てのクルーズの最終支払いから燃油サーチャージの金額が差し引かれる。2009年以降のクルーズで、既に全額支払い済みのものは、船内クレジットとして返金する。