成田と関空、中間期は減収減益−需要低迷や機材の小型化の影響受け

  • 2008年11月17日
 成田国際空港と関西国際空港の2009年3月期中間期(2008年4月1日〜2008年9月30日)の連結業績は、ともに減収減益となった。航空機発着回数で見ると、成田は前年比0.1%増の9.7万回とほぼすべての発着枠を使用し、関空も前年比6.1%増の6万7000回で上半期として過去最高となったものの、景気後退や燃油サーチャージの高騰による旅客・貨物需要の低迷、機材小型化による着陸料収入などの減少の影響を受けて減収。旅客数は、成田が5.8%減の1695万人、関空が2.7%減の820万1000人であった。両空港ともに、下半期の経営環境も大きな好転は望めないと判断し、通期の業績予想を下方修正している。修正後の業績予想は、下記を参照のこと。

 成田の連結業績は、営業収益が2.5%減の981億800万円、営業利益が21.2%減の160億2200万円、経常利益が26.6%減の115億4700万円、純利益が28.0%減の55億4400万円。成田国際空港代表取締役社長の森中小三郎氏は、「平行滑走路が延伸する2010年3月までは厳しい経営になるが、延伸を契機に発着回数22万回を達成し、その後首都圏の旺盛な航空需要に応えるために30万回をめざす」と強調し、その上で「2010年には延伸と成田新高速鉄道の開通、株式上場の3本柱をあわせて実現したい」と意欲を見せた。また、羽田空港との関係については、「現在の羽田空港からの出国者数は50万人から60万人で、この分の収入が減っているのは事実だが、利用者の様々なニーズに応えられるように努力するのは当然」と説明し、一定の理解を示した。

 関空の連結業績は、営業収益が3.5%減の517億6500万円、営業利益が17.7%減の116億1600万円、経常利益が41.4%減の46億1400万円、純利益が50.0%減の40億100万円。減収は上半期としては2003年以来5年ぶり。関西国際空港代表取締役副社長の平野忠邦氏は、「何とか一定の利益を確保できたが、減益の事実は厳しく受け止めている」と言及。その上で、下方修正はしたものの「通年での黒字確保は十分可能。修正数値に上乗せできるよう、全社を挙げて努力する」と意気込みを示した。

 なお、平野氏は、大阪府知事の橋下徹氏が伊丹/成田路線の廃止を訴えたことについて、「非常にありがたい」とコメント。「関西市場はビジネス需要が弱いといわれるが、ビジネスでの旅客は伊丹から成田に行ってしまっており、結果的に国際線路線網の充実を阻害している」と語り、関空としても文書での要望を含めて、廃止を求めていく考えを説明した。


▽成田、業績予想
(項目/修正後予想/前年比/修正前予想)
営業収益/1920億円/3.9%減/1969億円
営業利益/237億円/27.9%減/281億円
経常利益/145億円/38.5%減/183億円
純利益/61億円/44.2%減/85億円
航空旅客数/3317万人/6.3%減/3533万人
航空機発着回数/19万3000回/0.8%減/19万5000回


▽関空、業績予想
営業収益/1004億8800万円/5.3%減/1044億3900万円
営業利益/183億9900万円/26.5%減/207億400万円
経常利益/41億1700万円/63.8%減/58億8800万円
純損失/36億2900万円/144億9600万円減益※/26億400万円の損失
航空旅客数/1564万人/6.3%減/1694万人
航空機発着回数/12万9000回/前年同/13万7000回

※連絡橋道路部分の売却に伴う特別損失計上のため