「旅行の品質は安心と安全」、東京海上がセミナーで対策をアピール

  • 2008年11月6日
 東京海上日動火災保険は11月5日、旅行会社勤務者を対象に第2回海外旅行安全対策セミナーを開催した。第1回は5月に発生したイエメンでの日本人女性誘拐事件を受けて開催したもので、今回は「安全で安心な旅」の切り口で実施。東京海上日動火災保険旅行業営業部長の網本卓夫氏は、「消費者の目が厳しくなり、あらゆる業界で『品質』が問われるようになっている」と語り、旅行業界では「安心は保険である程度確保できるが、安全は旅行会社の対策が必要」とセミナーの目的を説明。セミナーでは、読売旅行経営戦略室全国海外旅行委員長で日本旅行業協会(JATA)海外旅行委員会委員の川口滋道氏が、先ごろにJATAなどが実施した中国四川省の視察を踏まえて、「安全」の対策について語った。

 川口氏は、外務省の渡航情報のウェブサイトでの安全確認など基本的な情報に加えて、5月に発生した四川大地震で被災した日本人旅行者の体験として、正確な情報の把握、日本への連絡手段の確保、大使館や現地旅行会社への確認、帰国便の確保が困難であったと紹介。旅行会社としては、対策本部の設置や事故情報の収集、社員の現地派遣、救援活動、帰国手段の手配、関係官庁・機関への通知などを遂行できるよう対策を考えておく必要があると語った。

 また食の安全については、「一番難しい」としつつ、修学旅行を取り扱う旅行会社の取り組みとして、現地代理店を通じて利用予定の飲食店から中国衛生局の営業許可証のコピーを入手する、あるいは大皿料理ではなく最初から小分けした料理提供を依頼するといった工夫を紹介した。

 なお、川口氏によるプレゼンテーションのほか、観光庁観光産業課長の加藤隆司氏が、観光庁の行動方針についての説明と、先ごろに実施した「海外旅行者満足度・意識調査」の結果の解説を担当した。