IATA運賃の「規則」重要−独禁法適用除外見直しで日系2社、政策的観点にも言及

このなかで対等な競争条件の確保について、日本では外資規制や2国間協定があることですでに完全な自由競争の条件でないこと、さらに自由化が進む欧米と保守的な規制が残るアジア諸国との差があり、日本が双方を相手に競争をする必要があることを指摘し、慎重な検討を求めた。例えばアメリカはオープンスカイとセットで反トラスト法適用除外(ATI)を容認する方針にあり、韓国とはATIが認められていることに触れ、国益を観点にした独禁法適用除外制度を運用する必要性を言及した。
また、個別協定については、IATA運賃協定は依然として連絡運輸が焦点となり、「あくまでもツールとして重要」(NH執行役員企画室長岡田晃氏)、「制度に効果がある」(JL取締役平田邦夫氏)など、付随する条件や規則が旅客の利便性、さらに円滑な事業運営を維持する上での必要性を強調した。
一方、事業者間協定のうちアライアンス協定は、論点に違いがあった。例えば、NHはアライアンスによる直行便数や輸送力増加による乗り継ぎ機会の増加、運賃低下という効果を説明。さらにルフトハンザドイツ航空(LH)とユナイテッド航空(UA)の提携ではスケジュールや座席調整、収入配分を含めた広範な包括的協定を進めていることを紹介し、国際航空市場における新たな動きへの対応が可能な適用除外制度の活用を訴えた。対してJLは最短乗継時間(MCT)が以前は空港単位であったが、現在はアライアンス単位になり、乗り継ぎや発券などの利便性が低下している側面を指摘し、包括的に適用除外とするのではなく、個別項目で判断すべきとの意見だ。
なお、NCAは貨物については欧州、米国、豪州でIATA運賃協定の競争法適用除外が廃止されており、「相手国のルールも遵守する必要があり、グローバルな視点で考える必要がある」として、航空貨物運賃協定に限り不要としている。
▽フレックスフェアの運用状況
IATA運賃協定が適用除外になる場合、代替サービスが必要という意見があり、現行のフレックスフェアに対する各社の評価も求められた。これにあわせ国交省のフレックスフェアの運賃水準の調査によると、欧州域内では平均運賃にプレミアム運賃が加算されることで値上がりする路線が多く、バルセロナ/パリ線では37%増、フランクフルト/ロンドン線では33%増となっている。また、欧州/アジア路線、豪州/欧米路線も概ね上昇。一方、プレミアム運賃の加算がない欧州/米国路線では、ニューヨーク/パリ線の2%増をのぞき、減少している路線が多い。例えば、シカゴ/ロンドン間は24%減、サンフランシスコ/ロンドン間は19%減など。航空会社からは「キャリア運賃に基づき機械的に計算された運賃で、参入、退出の自由度もある有益な運賃設定の枠組み」(NH)とする一方、「共通運賃を利用することが拘束的で反競争的という見解もあり、適用除外とする必要がある」(NH)や、「課題が以前多く、直ちに代替として評価できる段階はない。特にアジアの多様性を考えると拙速な導入は望ましくない」(JL)と述べた。
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