中部、市場環境は悪く年度決算は下方修正へ−需要拡大の取り組みは継続

  • 2008年10月10日
 中部国際空港代表取締役副社長の伊藤鎭樹氏は、市場環境を「当初の想定をはるかに超えた嵐」にあり、2008年度の最終損益目標であった1億円の黒字から数億円の赤字の範囲の達成は「極めて困難な状況」と語った。具体的な見通しは、11月に発表する中間決算に盛り込む。伊藤氏は、「燃油価格の高騰や景気の悪化による需要の冷え込み」に加え、好調に推移していたインバウンドが8月に2年半ぶりの前年割れとなり、減便や運休から売上高の減少は避けられないという。

 伊藤氏は「需要回復や復便には相当の時間を要する」と見ているが、需要の拡大に向けた取り組みを地道に継続する。例えば、在日ブラジル人の取り込みは、積極的なプロモーションを行い、中部在住の在日ブラジル人がサンパウロを訪問する際の出発空港の割合が、2006年は成田が67%、中部が33%であったところ、2007年に成田45%、中部55%に逆転、今年上半期に成田が23%、中部が77%まで増える実績がある。また、昨年から継続している「デラ九州キャンペーン」でブログを開設、参画する旅行会社の商品を企画担当者がアピールするなど、「同じキャンペーンでも工夫を凝らして効果を高めていく」という。

 一方、タイ国際航空(TG)が5月に週3便で就航した深夜便が10月1日から週2便に減便。これについて、「タイの国内情勢に起因するもの。燃油や景気などの長期的問題とは異なる」と指摘する。TGの深夜便は好評を得ており、免税店やリラクゼーション施設「くつろぎ処」の深夜営業など、「中部空港が利用者の増加をねらった施策は(効果を得ており)、これからも継続する」と語り、タイの情勢が沈静化した後に「タイへの深夜便をいっそう活性化するための準備をする」という。