海外旅行保険、15歳未満の死亡保険金の上限が1000万円に−対面販売も範疇に

  • 2008年8月29日
 海外旅行保険の15歳未満の死亡保険金額の上限を1000万円に設定する損害保険会社が増えている。まずは非対面募集における海外旅行保険で変更するため、インターネットや空港などに設置された自動引当機での販売が対象で、すでに東京海上日動火災保険、損保ジャパンが開始。日本興亜損保でも9月1日から開始する。今後は非対面募集のみならず、店舗などの対面募集の際にも同様の対応ができるよう検討する。

 これは、金融庁の保険業法の見直しにともない、金融審議会第二部会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」で、死亡保険金が高額な海外旅行保険は未成年者の死亡にかかる保険金を悪用した犯罪(モラルリスク)が高いとして、上限額を引き下げるべきとの指摘に対応したもの。また、被保険者の同意がない死亡保険についても保険金額の上限設定が検討された。損害保険ジャパンでは上限額を1000万円にしたことについて、金融審議会で議論された金額であり、葬儀金などを含めて考えても妥当であると説明する。

 保険業法の見直しに対し、日本旅行業協会(JATA)では3月25日、金融庁に対して意見書を提出。家族で出かける海外旅行はモラルリスクの可能性が少ないこと、旅行に行く同意があれば保険加入にも暗黙の同意があること、家族の代表のみが来店した場合はその場で保険契約ができず、無保険の状態で旅行に行く可能性があること、さらに国土交通省の通達や外務省のホームページで海外旅行傷害保険の加入を推奨することが指導されていることなどを訴え、自賠責保険と同水準の3000万円まで死亡保険金額は、同意を不要とするように求めていた。


▽保険業法の改正案が公表、9月26日まで意見を受付

 金融庁では7月3日の金融審議会を経て、8月28日に「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」及び「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)を取りまとめた。(1)15歳未満の者を被保険者とする死亡保険、(2)被保険者本人の同意を取得していない死亡保険について、保険金の限度額、その他引受けに関する社内規則などを定めるとともに、業務が運営されるための体制整備を内閣府令で義務付けるというもので、これを具体化するための「保険会社向けの総合的な監督指針」も改正する。2009年4月1日からの施行または適用を予定しており、案に対する意見は9月26日の午後1時まで、受け付ける。


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