日本航空、総額表示に「協力姿勢」−JTBは来年上期の導入に前進
燃油サーチャージを旅行代金に含めてパンフレットに表示する「総額表示」に、日本航空(JL)が前向きな姿勢を示した。このほどJL広報部が、現状について「国土交通省が改正した(総額表示を求める)通達の内容は理解している。現在は総額表示と近接表示どちらにも対応できるよう、協力姿勢で各旅行会社と協議している」と説明。全日空(NH)が積極的な意向を示すなか、JLはこれまで総額表示に対して「検討する」と慎重なコメントに留めていた。
海外旅行市場全般の低迷の要因として、燃油サーチャージの高騰と表示や仕組みの分かりにくさが指摘される中で、国土交通省が6月に「燃油サーチャージは旅行代金の一部とするのが自然」との考えで総額表示を求める改正通達を発出。それまで航空会社側は旅行会社側の要望に対して難色を示していたが、通達発出を契機に、NHを筆頭に総額表示への流れが出始めていた。ただし、外国航空会社の中には本社の意向が関わるため、導入には市場の多勢を占める日系2社の出方をうかがう構えが多く、今回JLが前向きな姿勢を示したことは、今後の動きに大きな影響となるだろう。
このような中でジェイティービーは、日系航空会社2社との交渉で、総額表示を可能にするIT運賃に燃油サーチャージを含めたネット運賃の導入を、「ほぼ納得して頂けた」(JTB旅行事業本部航空政策室長の清水直樹氏)という。現状は、「細かい部分で課題は残っているが、次は『金額をどうするか』の段階」で、来年上期の導入にめどがついたようだ。このほか、いくつかの外国航空会社が同様の理解を示しており、10月上旬ごろまでに1社でも多くの航空会社の賛同を集め、11月中にIT運賃のネット価格を決定したい考え。
今回の枠組みは、表示額の6ヶ月間固定を実現するもの。IT運賃用に燃油サーチャージ額を決定してIT運賃のネット価格と合算、燃油額の急激な変動には期中の交渉で対応する。従来も、需給のバランスに応じて価格の交渉は行われてきており、「これまでやってきたことと変わらない」という。
今後は外国航空会社をどこまで取り込めるかがポイントとなる。清水氏は「全ての航空会社をめざしたいが、一部が応じないからといって諦める話ではない」と説明。その場合、合意できた航空会社の利用商品は総額表示、合意できない航空会社は近接表示、あるいは取扱規模によっては利用を控える可能性もあるという。こうした対応については、9月にJTBワールドバケーションズと議論し、方針を決定する予定だ。
なお、その他のホールセラーでは、現状ではこうしためどはたっていない様子。日本旅行ではJTBと同様6ヶ月の固定をめざして航空会社と交渉を続けており、ジャルパックとANAセールスは、ともに「(親会社である)航空会社の結論が出ていない状態」としている。ただし、いずれの会社も、日本旅行業協会(JATA)が5月に航空会社に対して提出した要望書が旅行業界の総意であるとの認識を示している。
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◆燃油サーチャージは旅行代金の一部−国交省、通達案策定し総額表示推進へ(2008/06/13)
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なお、その他のホールセラーでは、現状ではこうしためどはたっていない様子。日本旅行ではJTBと同様6ヶ月の固定をめざして航空会社と交渉を続けており、ジャルパックとANAセールスは、ともに「(親会社である)航空会社の結論が出ていない状態」としている。ただし、いずれの会社も、日本旅行業協会(JATA)が5月に航空会社に対して提出した要望書が旅行業界の総意であるとの認識を示している。
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