JTBF、今年の海外旅行者数は5%減の1640万人を予測−燃油動向が鍵
財団法人日本交通公社(JTBF)は7月23日に開催した海外旅行動向シンポジウムにおいて、主任研究員の黒須宏志氏が海外旅行者数について、2008年は前年比5.1%減の1640万人、2009年は1.2%増の1675万人との予測を示した。燃油サーチャージの高騰や円安など複合的な要因により、9.11やSARSと同様の危機と似た動向を示し、構造的な成長力の衰えから従来の危機と異なる状況と説明。その上で、燃油サーチャージの安い近場のデスティネーションを訪れる需要の獲得を強化すること、卒業旅行やハネムーンなど若年層の取り組みの推進を提案した。
黒須氏は、2008年1月以降、業務渡航がありえる50歳から54歳の男性層以外の全ての層において出国率が減少していることを指摘し、「SARS以降初めてのことで、『危機』と同じ状況」という。また、9.11やSARSは急激な落ち込みの後に回復したものの、「今回は緩やかに下がり続けている」とし、「先が見通しできず、これまでの危機とは異なる状況」とした。黒須氏は、この背景として少子化や、「初めて海外旅行を経験した人がハードなリピーターとなる確率は10人に1人程度」という低い旅行市場での定着率など、構造的な「成長力の衰え」があるという。
また、サーチャージの影響は、2007年11月と2008年7月に実施した意識調査を紹介し、「旅行回数を減らした/延期した」の回答が5.7%から29.4%に急増していることを紹介。ただし、この影響は「これからが本番」となり、一段と厳しい環境になるとの見方だ。また、「サーチャージ自体に気付かなかった」が8.4%から3.8%に、「サーチャージ自体を気にしていない」が23.5%から16.5%に減少するなど、燃油サーチャージの認知度が向上。今後は、燃油サーチャージ額が高騰することで、需要減退を押し下げるスピードが速くなるという。
▽近距離で需要の取りこぼしの回避を−若年層の需要喚起にも取り組み求める
黒須氏は、燃油サーチャージ額の高騰は遠距離から近距離デスティネーションへのシフトが起こりうるとし、近距離の需要獲得がチャンスと説明。2008年の方面別の動向としては、マカオやマレーシア、バリ、アメリカ、シンガポール、カンボジアなどがプラス成長しているほか、近距離のデスティネーションとしてサイパンやグアム、韓国などもプラス成長があり得るとした。また、円安の影響を回避するため、マレーシアや湾岸諸国などのドル・ベッグ圏やドル流通圏が販売を強化するデスティネーションという考え。
また、今後の「チャンスの芽」として、若年層の海外離れに歯止めをかけ、将来的な海外旅行者の増加にむけた学生旅行とハネムーンを提案。卒業旅行は、特に専門学校や短大などの生徒に目を向けることを訴えている。これは、20歳から24歳の海外旅行者数が2007年には1997年に比べて70万人減の120万人となっているが、大学生・大学院生の旅行者は30万人と以前から大きな減少がない着実な需要に結びついていることに着目したもの。また、ハネムーンについて黒須氏は、「人口減と出来ちゃった婚の増加で、海外ハネムーンが減少することは予測できた」とし、「専門学校や短大と同様、旅行業界はそれらに対して手を打ってこなかった」と言及。その上で「投資なくして成長なし」と語り、先行的に取り組むことで、将来の海外旅行者数の増加につなげるべきとの考えを示した。
黒須氏は、2008年1月以降、業務渡航がありえる50歳から54歳の男性層以外の全ての層において出国率が減少していることを指摘し、「SARS以降初めてのことで、『危機』と同じ状況」という。また、9.11やSARSは急激な落ち込みの後に回復したものの、「今回は緩やかに下がり続けている」とし、「先が見通しできず、これまでの危機とは異なる状況」とした。黒須氏は、この背景として少子化や、「初めて海外旅行を経験した人がハードなリピーターとなる確率は10人に1人程度」という低い旅行市場での定着率など、構造的な「成長力の衰え」があるという。
また、サーチャージの影響は、2007年11月と2008年7月に実施した意識調査を紹介し、「旅行回数を減らした/延期した」の回答が5.7%から29.4%に急増していることを紹介。ただし、この影響は「これからが本番」となり、一段と厳しい環境になるとの見方だ。また、「サーチャージ自体に気付かなかった」が8.4%から3.8%に、「サーチャージ自体を気にしていない」が23.5%から16.5%に減少するなど、燃油サーチャージの認知度が向上。今後は、燃油サーチャージ額が高騰することで、需要減退を押し下げるスピードが速くなるという。
▽近距離で需要の取りこぼしの回避を−若年層の需要喚起にも取り組み求める
黒須氏は、燃油サーチャージ額の高騰は遠距離から近距離デスティネーションへのシフトが起こりうるとし、近距離の需要獲得がチャンスと説明。2008年の方面別の動向としては、マカオやマレーシア、バリ、アメリカ、シンガポール、カンボジアなどがプラス成長しているほか、近距離のデスティネーションとしてサイパンやグアム、韓国などもプラス成長があり得るとした。また、円安の影響を回避するため、マレーシアや湾岸諸国などのドル・ベッグ圏やドル流通圏が販売を強化するデスティネーションという考え。
また、今後の「チャンスの芽」として、若年層の海外離れに歯止めをかけ、将来的な海外旅行者の増加にむけた学生旅行とハネムーンを提案。卒業旅行は、特に専門学校や短大などの生徒に目を向けることを訴えている。これは、20歳から24歳の海外旅行者数が2007年には1997年に比べて70万人減の120万人となっているが、大学生・大学院生の旅行者は30万人と以前から大きな減少がない着実な需要に結びついていることに着目したもの。また、ハネムーンについて黒須氏は、「人口減と出来ちゃった婚の増加で、海外ハネムーンが減少することは予測できた」とし、「専門学校や短大と同様、旅行業界はそれらに対して手を打ってこなかった」と言及。その上で「投資なくして成長なし」と語り、先行的に取り組むことで、将来の海外旅行者数の増加につなげるべきとの考えを示した。