取材ノート:ランデブーカナダレポート、4観光局の動向と今後の方針

▽BC州、オンライン・マーケティングで需要創造、商品造成促進のツールとして活用へ

将来的にはウェブサイト上の情報を充実し、ユーザーが閲覧した内容やキーワードから、その人の興味のある地域や素材を把握。それをデータベース化し、ユーザーがアクセスした時、その人の興味のある情報をサイト内で表示し、ニュースレターもそのユーザーが興味のあるトピックを配信していくことも考えている。また、ウェブサイトを通して得られる消費者のデータを分析し、旅行会社への商品造成を促す際のツールとして活用していきたいという。
なお、BC州を訪れる日本人旅行者の傾向は5年前と比べ、FIT旅行者が増加。スケルトンタイプのツアー参加者を含めると約60%にのぼり、過半数を超えている。また、BCが提案しているバンクーバー、ウィスラー、ヴィクトリアの三都市周遊の旅も定着してきたという。
▽アルバータ州観光公社、日本向け予算が5%増−体験テーマに魅力をアピール
2007年のアルバータ州への日本人訪問者数は前年比14%減で、カナダ全体の減少率と同じ結果になった。しかし、アルバータ観光公社代表のデレック・コークカー氏は「日本マーケットは引き続き重要」と語り、2008年度の日本向けの予算は2007年と比べ5%を増額したという。

▽アトランティック・カナダ、赤毛のアン100周年が好調−日本の効果がもっとも高い

プリンス・エドワード島に関しては今後、赤毛のアン関連のイベントや活動を通して浸透したイメージを保ちつつ、さらにその他の3州への興味や関心を高め、4州内においての滞在日数の増加につなげたいという。そのため、プリンス・エドワード島の露出とともに、他州の紹介を組み込むことを促す広報活動、百貨店で開催されている「赤毛のアン展」において、プリンス・エドワード島のほか4州の写真
やポストカード、関連資料や旅行パンフレットを置く観光ブースを併
設する活動に取り組んでいる。
▽オンタリオ州観光局、世界遺産の「リドー・ヘリテージ・ルート」を促進
オンタリオ州観光局は、2007年に同州内初の世界遺産として認定されたリドー運河沿いの村々を結ぶルートを「リドー・ヘリテージ・ルート」とし、日本マーケットでのプロモーションを展開していく。オタワからキングストンまでの202キロメートルには、マノティック、メリクヴィル、スミス・フォールズ、パースなど、小さな村や町が点在しており、そうした村を基点とするハイキングやクルーズなどのアクティビティを提案していく。これらの村や町には個人経営のイン(小規模の旅館)やB&Bタイプの宿泊施設があるほか、ルートのゲートウェイとなるオタワやキングストンには大型ホテルがあり、ルートを巡るための宿泊施設が整備されていることもアピールする。オンタリオ州観光局のアジア・パシフィック地区担当マーケティング・マネジャーのハービー浜崎氏は、「オタワのウィンタールードや紅葉のシーズンと一緒に組み込み、州内の滞在日数の増加につながれば」と、期待している。
カナダ西部のゲートウェイ、
バンクーバーを“滞在する”魅力
今回のRVCの開催地バンクーバーは、日本からカナ
ダ西部のゲートウェイとなる都市。現在は、バンフや
ウィスラーをめぐる周遊旅行の玄関口として滞在する
ことが多く、バンクーバーそのものを楽しむツアーが
少ないという。
バンクーバーは利便性の高い都市機能と海や原生林
といった大自然が共存し、コンデ・ナスト・トラベラ
ー誌に「世界一住みやすい街」に選ばれ続けている魅
力ある都市。バンクーバー観光局セールス&市場開発
課マネージャーの山本安彦氏は、「華やかではないが、
滞在すればするほど良さが分かる街」とその魅力を表
現する。留学やワーキングホリデーで滞在した学生の
多くがリピーターとしてバンクーバーに訪れるのも、
彼らがバンクーバーで自分なりの楽しみを見つけ、心
地よく暮らしたからだとし、「そこに旅行者として訪
れた場合の楽しむヒントがある」という。
そのため、山本氏が薦めるバンクーバーでの楽しみ
方は、現地に滞在し、暮らすような旅。バンクーバー
内にはサンドマンスイートやカルマナ・プラザなど、
アパートメントタイプの宿泊施設も充実していて、最
近は2週間から1ヶ月ほど滞在するシニアのロングステ
イも増えてきている。
バンクーバーでの滞在をより充実したものにする方
法のひとつが、現地の英会話学校を活用すること。午
前中は英会話レッスンを受け、午後は観光しながら学
習したことを実践することで、買物やバスの乗り方な
ど生活のコツを学べ、現地での滞在がより充実したも
のになるという。実際、午前中は英会話学校へ行き、
午後は近郊でゴルフというシニアもいるという。
残念ながら、RVCの期間はホテルと会場の往復と小2
時間ほどの散策しかできなかったが、それでも街中を
歩くと太平洋やロッキーの山々など、バンクーバーを
取り囲む大自然を背景とした都市の景観の美しさに出
会え、通りの角を曲がるごとに表情を変える姿が楽し
めた。
また、春から夏にかけては、街中のあらゆるところ
に花々が咲き、女性には街歩きの中での花観賞も人気。
中でも市内にあるバン・デューセン植物園のラバーナ
ムの小道が有名。ラバーナムは5月末から6月初旬が見
ごろで、訪問時には鮮やかな黄色の花々が咲いていた。
バン・デューセン植物園のナンシー・ウォン氏は「植
物園は55エーカーと広大で、ラバーナムが咲く人気の
季節でも、ゆっくり自分のペースで観賞することがで
きる」とアピール。バン・デューセン植物園には一年
中あらゆる花が咲いているほか、ガーデニング関連や
花をモチーフにしたクラフト類などを販売する土産物
店、園内で栽培する食用の花のサラダを提供するレス
トランなどもあり、花観賞以外の楽しみも充実してい
る。