アマデウス、ダイナミックPKG用システムを2010年めどにアジアで展開

  • 2008年7月22日
 アマデウスはアジア・太平洋地域で2010年ごろをめどに、ヨーロッパで提供している旅行会社向けのダイナミック・プライスと、コミュニケーション機能を備えたシステムを展開する計画だ。アマデウスはヨーロッパにおいて、エクスペディア、トーマス・クック、オポドなどにこのシステムを提供。コンセプトは付加価値を提供するシステムで、特にコミュニケーション機能では、これまでの口コミを活用しつつも、予約システムの提供という観点から、利用者すべてからの口コミを収集し、精度の高い評価機能を確立しつつあることだ。

 アマデウス本社レジャー・グループ、マネージング・ディレクターのアンディ・オーウェン=ジョーンズ氏は「アジア・太平洋地域での(ホテルなどの)データ収集から言語変換などあるが、2009年ごろに試用をはじめ、2010年ごろに提供できる」という。アマデウスはITサービスの提供を強化しているが、この対応はこうした流れを欧州だけでなく、世界各地で展開する方向性をくんだもの。システムは、利用者から重視される口コミをはじめとするコミュニケーション機能にくわえ、レジャーで利用する場合の日にち、体験を重視した検索、ビジネスで利用する場合の体験プログラムを盛り込むなど、幅広い点で旅行サービスを包括している。また、口コミへの批判のポイントとして、「良い、あるいはまったく逆の体験者が『書く』をはじめ、情報発信の動機を得ている」ことから、「利用者の全員に参画を求め一部の意見だけでなく、幅広い情報を掲載する仕組み」をつくった。利用者からのアンケートへの返答は20%を超えているといい、口コミサイトの代表であるTripAdvisorの評価とアマデウスが提供するシステムの評価は異なることも多いという。

 また、利用者の検索でも、レジャー利用では「体験を重視する旅行者が増えている」ことから、日程、デスティネーションを決定せずに検索することができる。これは、欧州の旅行業界の変化も踏まえたもので、オンライン旅行会社、リテール販売網ももつ旅行会社(ホールセラー)、サービス・プロバイダー(航空、ホテル、以下サプライヤー)などがオンライン上で差別化が図りにくくなったこと、販売と回答のスピードが高まり、旅行者も情報収集力をもち、それぞれのカテゴリの垣根が薄れていることも踏まえたもの。アマデウスでは、システム利用者の旅行会社やサプライヤーのメリットとともに、消費者のメリットを兼ね備えたシステム開発を進めていくという。




▽アマデウスのIT企業としての展開

 アマデウスは現在、GDSをはじめ、旅行業界を対象としたIT関連サービスの拡充を図っている。特に、航空会社に提供するAltea(アルテア)は販売・予約からチェックイン、運航にかかわる幅広い機能を提供しているもの。これ以外にもホテル、前述のオンライン・システムの提供など、従来のシステム(メインフレーム)からオープンシステムへ移行する動きをとっている。汎用型のサーバーの活用から、UNIXやLINUXなどオープン系に移行することは、利用者からみれば機能に追加などがあるものの、裏側のバックヤードの部分で見た目の大きな変化はないが、機能追加やサービスの信頼性、他のシステムとの連携しやすく企業活動の活発化にともなう迅速な対応が可能となるほか、コスト削減でも長期的な視座から可能だ。また、現在を1とすると2011年ごろには2倍、2015年には3倍を超える検索の要求を見ており、こうした点でもサーバーの増強や速さの確保は重視されるところ。こうした視野から、既にオープン系に移行を開始しており、2011年に完全移行を終える。

 また、このIT企業への動きを加速することで、GDSではなく「IBM、EDSなどがコンペティターになりつつある」とし、開発力の強化を推し進めること、ネットシステムと同様にアジアでの利用を促進していく。