マスターカード調査、下半期のアジア太平洋地域の展望が落ち込む

  • 2008年7月4日
 マスターカード・ワールドワイドが半年に1度実施する消費者意識調査によると、2008年下半期の展望はアジア太平洋地域の全体でわずかな楽観的傾向に留まった。総合の指数は56.0で、半年前の69.3から13.3ポイント減少。世界的な信用危機、それに関連する金融市場の不安定さ、インフレ率の上昇、食料や原油価格の高騰、経済成長の減速が影響したと考えられる。加速するインフレにより、インドネシア、マレーシア、インド、中国で食料や原油への補助金が削減され、借り入れコストの高騰や消費の低迷に繋がっている。

 調査は5月2日から26日まで、アジア太平洋の13市場の消費者5404人を対象に、今後6ヶ月間の経済情勢について実施。雇用、景気、固定収入、株式市場、生活の質の5項目を0から100までの指数で評価する。50以上は楽観傾向、50以下は悲観傾向、50は中立的であることを示す。生活の質(48.2)は微増、雇用(54.2)、景気(51.8)、株式市場(53.4)は減少したがわずかに楽観傾向を留め、固定収入(72.2)は楽観的であった。

 シンガポール(87.3)が強い楽観傾向を示し、13市場で最高の指数となった。そのほか、香港(83.1)、中国(82.7)、ベトナム(86.2)、台湾(71.3)も高い指数であった。一方、韓国(27.7)、マレーシア(36.9)、ニュージーランド(37.1)、オーストラリア(42.8)、フィリピン(43.2)、タイ(23.7)の6市場で、1997年から翌年にかけて起きたアジア金融危機の時期と同様かやや悲観的な傾向を示した。また、インドネシア(36.7)、日本(29.0)は金融危機の時期より上回っているものの、悲観的な数値となった。

 日本は2003年下半期にそれまで続いた悲観傾向から脱却して以来、楽観傾向であった。2005年下半期からは4回連続で60を超えたが、2008年上半期から悲観傾向へと転換している。


▽地域別指数(方面/今回/6ヶ月前/1年前/アジア経済危機時の平均指数(97年〜98年)/過去平均指数)

日本/29.0/48.6/66.8/5.4/31.5
オーストラリア/42.8/64.9/68.3/43.0/56.8
中国/82.7/85.5/84.0/55.6/75.3
香港/83.1/85.9/84.7/16.9/56.6
インドネシア/36.7/57.8/53.5/27.2/65.7
韓国/27.7/64.1/48.5/26.1/51.7
マレーシア/36.9/72.5/71.0/40.9/72.8
ニュージーランド/37.1/56.3/57.1/38.5/58.8
フィリピン/43.2/67.7/64.6/47.7/50.8
シンガポール/87.3/83.6/83.3/34.4/67.0
台湾/71.3/29.7/35.6/45.1/46.9
タイ/23.7/44.2/36.7/25.6/55.2
ベトナム/86.2/94.3/91.3/調査対象外/91.9
全体/56.0/69.3/67.9/34.7/60.2


▽2008年下期、日本の指数(項目/今回/6ヶ月前/1年前)
景気/24.4/50.4/73.1
株式市場/32.1/58.5/70.1
雇用/34.5/60.4/81.5
生活の質/19.5/32.4/54.1
固定収入/34.5/41.1/55.4