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JATA、ビクトリア瀑布の渡航情報引き下げ要請へ、「他の観光地と変わりない」

  • 2008年6月30日
 日本旅行業協会(JATA)は、ジンバブエ大使館、およびジンバブエ観光局の要請に応じて派遣した6月20日と21日の「ビクトリアフォールズ治安情勢に関する視察」を経て、外務省に対し、ビクトリアフォールズ地域の渡航情報の引下げを要請する予定だ。JATA審議役(特命事項、海外旅行業務担当)の須古正恒氏は、視察したホテル7軒、国立公園内などについて、「見た限りではセキュリティ、治安ともしっかりしている。他の観光地と変わりない」と説明。視察中にはちょうど、ツアー催行を継続しているクラブツーリズムのグループにも出あったといい、こうした状況を外務省に報告し、早期の引下げをめざす。

 また、報道による一般旅行者や旅行会社への影響も懸念。現地情報の定期的な発信による安全性のアピールとともに、今回の視察報告書は催行を検討する旅行会社、および渡航情報の「渡航の是非を検討してください」をツアー催行中止の基準とする旅行会社などに対し、基準の再検討や地域を限定した催行の検討を促す手段としていく考えだ。

 視察旅行に協力し、同行した南アフリカ航空(SA)日本地区支配人の小野田豊氏は「現地のホテルや施設は欧州レベルのサービスを提供し、安全管理も高い水準で整っている」と述べ、「地域を限った渡航情報の発出を要請していく」と強調。ジンバブエでは3月末の選挙を発端に、首都ハラレなどの都市部で治安の悪化や暴動などが勃発し、世界各地で連日、関連ニュース放映されている。しかし、ビクトリアフォールズ地域のほとんどの人々が観光産業に関わり、「過去にも政治的な問題は起こったが、ビクトリアフォールズ地域は以前から変わったことはなく、海外の観光客に危害を与えた事件はない」と、現地側の言葉を説明する。

 視察中は、現地のオペレーターやホテルなど、観光関連業者45名と会議も開催。参加者のほとんどが、渡航情報の引き上げにより、日本人観光客が減少し、軽視できない問題との認識を持っているという。会議では今後、外務省、およびハラレの日本大使館に対し、渡航情報の再検討を促すことに加え、日本側との関係を強化し、安全性のアピールのほか、需要喚起にも努めていくことで合意した。


▽JTBは8月31日までの催行中止を決定

 今回の視察には現地合流の形でJTBワールドバケーションズ商品開発部長の田中敏男氏が参加。ジェイティービー(JTB)グループでは海外旅行実施基準として、「渡航の是非」は原則催行中止であることを表明している。

 田中氏は視察後の印象として「普通の観光地」と表現。個人的な意見とした上で「視認した限りでは催行可能と受け止めている。造成側としては再開したい」という。ただし、「自分が視認した情報と、日本人の一般的な情報に差異がある」という温度差に加え、その他の情報源からの情報を含めて勘案し、グループ会社として判断する必要性を示した。

 また田中氏は、JTBでは2006年、フィジーに「渡航の是非」がでていても催行した例外があったことを説明。しかし、個人的な見解として「状態が落ち着き、先を予見できる場合は様子を見ながら(催行する)ということもあるだろう」とし、ジンバブエの政権の動向が不安定である今は「すぐの再開は難しいのでは」と示唆した。

 なお、JTBは6月27日の夕刻、ジンバブエの渡航について8月31日出発分までの催行中止を決定した。


▽関連情報
ジンバブエ、ビクトリアフォールズ治安情勢の視察実施−JATAなど参加(2008/06/25)