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ジンバブエ、ビクトリアフォールズ治安情勢の視察実施−JATAなど参加

  • 2008年6月25日
 在日ジンバブエ大使館とジンバブエ観光局は6月20日から6月21日の日程で、南アフリカ航空(SA)の協力のもと、ビクトリアフォールズ治安情勢に関する視察を実施した。6月初旬に日本旅行業協会(JATA)を表敬し、視察担当官の派遣を要請しており、視察には海外旅行業務審議役の須古正恒氏、および旅行会社の担当者が参加した。

 ジンバブエでは3月の大統領選挙にからみ、政治不安から治安の悪化の懸念により4月24日付けで外務省の渡航情報が「渡航の是非を検討してください」に引き上げられた。6月27日には大統領選挙の決選投票が予定されており、各国メディアが現体制の政治的弾圧や首都ハラレを中心としたデモ、暴動などを報道している。しかし、ビクトリアフォールズ地区は現地側が観光による外貨収入の重要性を認識しており、ジンバブエとしては以前と変わらない治安状態を強調。特にビクトリアフォールズ地区では警察組織の一部として「ツーリズムポリス」を特設しており、シティセンター、ビクトリアフォールズ公園を含む範囲を朝から日没まで、22名が警備とガイドを実施している。現地では過去の政情不安の際にもこの地域の治安は守られてきており、今後も政権の動向に関わらず変わらないとの認識で、今回の視察はあえて、決選投票を1週間前にひかえた時期に実施し、ビクトリアフォールズの状況を確認してもらいたいというのがねらいだ。


▽現地の様子

 SA日本地区支配人の小野田豊氏によると、今回視察したのはホテル、およびビクトリアフォールズ公園、シティセンターとマーケットプレイス。ホテルは「ザンベジ・リバー・ロッジ」など6軒を訪問し、各ホテルでは警備会社と契約の上、24時間体制で警備がされているのを確認した。セキュリティ・マネージャーを置き、地域の警察署との連携して、アラーム警報を警備会社や警察署に通報できるようにしているほか、フロントとキーポイントには警備員を置き、巡回警備員が24時間体制で配備している。また、停電に備え、独自の発電機を配備しており、照明や防犯カメラなどの機能を確保している。

 また、ビクトリアフォールズ公園は開園時、正面入口と出口の2ヶ所のゲートで警備員が常駐。さらに正面入口ではツーリズムポリスによる警備も実施している。園内では4名のパトロール警備員が巡回。また、シティセンターとマーケットプレイスもツーリズムポリスが要所で警備。空港からホテルやシティセンターまでの道程には検問所があり、通行する車や人をチェックしている。こうした状態のなか、外国の旅行者は1人でも自由気ままに歩き回り、観光を楽しんでいる様子。日本人観光客も見受けられ、グループごとに添乗員が安全を確認しながら訪れていた。

 なお、ザンビアとの国境でもあるビクトリアフォールズには2国を結ぶ200メートルの橋が架かっており、その400メ
ートル手前にジンバブエ側の国境がある。有事にはこの橋を渡り、ザンビアに避難することも可能だ。


▽今後に向けて

 6月20日夕方、視察参加者と現地のツアーオペレータやホテルなど、計45名との観光業関係者との会議を実施。渡航情報の引き上げが観光産業に与える影響は軽視できないとの認識で一致し、相互の現状確認と情報交換により、日本人旅行者の安全を確保・確認するための協力体制のさらなる強化に向け努力していくとともに、ビクトリアフォールズへの需要喚起に役立てていくことが確認された。今後は外務省、および駐ジンバブエ日本大使館に対し、渡航情報の引下げを相互の協力のもと、進めていくことも話された。


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