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「フィリピンは新デスとしての可能性あり」−TIJ舩山会長とDOTデュラノ長官が対談

  • 2008年6月23日
 日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二氏とフィリピン観光省(DOT)長官のジョセフ・H・デュラノ氏が6月20日に対談し、日本市場への期待と海外旅行発展のための取り組みについて意見を交換、今後も関係強化を図るとした。

 フィリピンは昨年、世界からの訪問者数が史上初の310万人を記録し今年は350万人を目標に設定した。昨年は60%がアジア北部からで、台湾、香港、日本、中国が多いという。韓国、アメリカに続き日本は第3位の市場で、デュラノ長官は、「人数では減少傾向にあるものの、消費額は昨年と比べて5%増加しており、質の高い客層が多い」と日本市場への見解を示した。また、2006年に実施したJTBのキャンペーンによりそれまで10%程度だった20代、30代の若い女性が20%にまで増えたほか、日本で開催したマリンダイビングフェアでは2年連続、人気のあるデスティネーションの上位3位以内に入っていることから、今後も若い女性とダイバーをターゲットとして重視。さらに、消費額が大きいアクティブシニアへもスキューバダイビングやゴルフなどで訴求する。

 舩山氏は、海外旅行発展に必要な条件を、「収入」「航空などの座席供給」「旅心をくすぐる情報提供」「良い旅行商品の提供」「生活の余裕」「平和」の6つであるとの考えを示し、「以前は全て満たしていたが、21世紀に入り、収入、供給数が減少し、ライフスタイルが変化。9.11テロにより平和も危うくなった」として「これからはそれ以外を中心に海外旅行を盛り上げたい」と意気込みを語った。これを受け、デュラノ長官は携帯電話の必要性を例にとり、「旅行が衣食住のようなベーシックニーズではなくても、現代人に欠かせない携帯電話などの贅沢必需品のように健康や心の充実に必要なものになってほしい」と賛同した。


▽舩山氏、マニラ以外の地域へチャーター便を提案

 舩山氏はさらに、マニラやセブ以外のデスティネーション発展に向け、「定期便は難しいと思うが、まずはチャーター便の受入れを検討してほしい」と伝え、フィリピンの新デスティネーションとしての可能性に期待を寄せた。デュラノ長官は近年、ボラカイやボホール、パラワンなどのデスティネーションが紹介され始めていると話し、「すでに台北や上海、韓国からボラカイへの直行便が就航しており、さらに頑張っていきたいと思っている」と前向きな姿勢を見せた。また、舩山氏はビジットワールドキャンペーン(VWC)に関連して、「羽田空港の発着枠増加にあわせ、海外へのチャーター便を出し供給を増やせばよいのでは」と羽田空港利用の活性化についても触れた。


▽現地の正確な安全情報の提供を重視

 舩山氏はフィリピンへの日本人訪問者数減少について治安への不安を挙げ「治安がクリアになれば、物価も安く、食べ物もおいしく、人もフレンドリーで、可能性のあるデスティネーション」との見解を示した。デュラノ長官は治安について「多くの場合、観光地から離れた場所で(事件などが)起こることが多い」とし、「ボホールやボラカイ、パラワンなどの観光地が安全であることを伝えていくことが重要」と述べた。これに対し舩山氏は、「日本人の気質としてナーバスになりすぎる傾向がある。外務省の安全情報のみでなく、旅行業界として本当に危険かどうか認識し、正しい情報を伝えることが必要」と呼びかけた。