グアム政観、ハファデイ・スタディ・ツアー開催、質の向上と新イメージ強調
グアム政府観光局(GVB)は5月26日から29日の4日間、グアムで「ハファデイ・スタディ・ツアー2008」を開催、日本からグアムに直行便がある9都市を中心に114名が参加した。今年は、現地サプライヤー53社とのトレードショーのほか、各種施設の視察では、リノベーション完了、または実施中のホテルや建設中のヴィラ、チャペル、ソフトオープン中のスパなど新しいグアムを確認し、実感する機会が多く盛り込まれていた。また、3日目に開催されたセミナーでは、GVBの今年の戦略とグアム観光の今後の展望のほか、各航空会社から日本/グアム間の路線の現況と今後の方針などが紹介された。
「グアムはただのビーチリゾートではない」
セミナーでは、グアム準州の観光大臣のジェームズ・V・エスパルドン氏が歓迎の言葉を述べるとともに「今回のツアーで感じたグアムのイメージ、ホテル、景観などについて、改善するべき点があれば正直に教えてほしい」と参加者に率直な意見を求め、グアムの観光業を盛り立てていくことに協力を要請。「改善が必要ならば、グアム政府としてさらに予算を組むつもりである」と、政府をあげて後押ししようとする意欲を示した。
また、GVB副局長のメアリー・トレス氏は「グアムはただのビーチリゾートではない」ことを強調し、今年の重点市場として「ウエディング」「団体・インセンティブ」「シニア」の3つを挙げた。ウエディングでは2005年に1万組だった挙式数を、1万5000組に増やすことをめざす。グアムは日本から3時間半で到着し、同行者が行きやすい地理的条件や、オーシャンビューのチャペルや日本語を話すスタッフなどの質の高い挙式施設とサポート体制、挙式以外の時間を過ごすアクティビティが豊富なことなど、ウエディング・デスティネーションとしての優位性をアピール。さらに今年8月には「グアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパ」に新しいチャペルも完成予定であり、話題性が増えることを加えた。
2つ目の団体・インセンティブ市場では、グアムでは1500名近くまでの団体を受け入れることが可能であると説明し、今後は社員旅行、修学旅行、スポーツ合宿などへの広がりを視野に入れている。誘致に向け、現在は団体旅行キャンペーンを実施。3月1日から7月31日の期間を対象に、20名以上のグループで旅行した際の想い出を写真とレポートで送ると抽選で10万円をプレゼントする内容で、特に閑散期である3月から6月の集客対策をねらう。
また、3つ目のシニア・熟年市場では、日本での定年人口の増加に、700万人ともいわれる団塊世代を受け入れる準備を推進。日本からの距離が近く、1時間の時差で身体の負担が少なく、ホテルには日本人スタッフがいるという点で、熟年・シニア層が安心して滞在できる素地があることをアピールする。さらに、熟年・シニア層には文化、歴史を打ち出す考えで、ブランドイメージの向上をめざし選定した観光大使には、特にこれらの世代の認知度を重視し、グアム自然大使としてバレエダンサーの草刈民代さん、文化大使としてスポーツジャーナリストの小谷美可子さんを起用。そのほか、チャモロ文化を体験するアトラクションや施設の整備にも着手しているという。
グアム情報源の半数以上が旅行会社のパンフレット
GVB日本代表の光森裕二氏は、グアムの現況を説明。2007年度のグアムへの日本人渡航者数は、前年比2.2%減の93万2175人であった。しかし、光森氏は「航空座席が8.5%減であったことを考えると健闘している」とコメント。さらに、重点市場にあげるシニア層の指標となる50代以上の割合は(全体の)17%に落ち着いているが、平均年収が700万円以上の客層が全体の46%に増加、さらに日本での事前支払い出費額が、2006年12月から2007年1月の平均は944.32米ドル、2007年4月から5月は890.06米ドル、07年8月から9月が767.99米ドルと上昇していることを紹介。従来とは異なる客層が増え、グアムが変化しつつあることを示唆した。
さらに、グアム渡航者を対象にしたアンケートによる訪問理由の結果によると「南国ならではの美しい海、自然、気候のすばらしさ」が63%、「日本からの近さ」が53%についで、「前回の訪問のよさ」も31%で4位と健闘している。さらに、同アンケートの旅行者の情報源はガイドブック70%、インターネット61%に次いで、旅行会社のパンフレットが54%となっており、光森氏はパンフレットの重要性を説き、旅行会社各社に「旅行者はパンフレットを読み込んで目的地を決める。しっかりした情報を入れて欲しい」と呼びかけた。GVBでは今後、日本人海外渡航者の目的地シェアとして、2007年より0.5ポイント増の5.9%とすることをめざしていく。
日本/グアム間の空路はおおむね順調
グアムに直行便を就航させている各航空会社も2007年度の実績や今後の展望を発表。全日空(NH)の2007年のグアム線の利用者数は1万2140名、就航率は100%を達成した。(関空発の)夜便のため、NHのネットワークを活用し、地方からの乗継が乗客の3割を占めているという。また、日本航空(JL)は、利用者数は6%増。06年上期よりビジネスセイバーを導入し、ビジネスクラス使用のパッケージを造成・販売したため、ビジネスクラスは114%増と大きな伸びを見せている。今後ともパッケージ用の観光ビジネスクラスを提供していく方針だ。夜便の981便、982便についても3年間は現状維持で就航させていく。
また、ノースウエスト航空(NW)は09年にボーイング787の導入を予定しているほか、就航25周年となるコンチネンタル航空(CO)は7月に成田線を週5便増便、8月は、関西(夜便)のデイリーで運航。さらに、団体需要を見込んだ新たなサービスとして、10名以上の団体に対し、事前の申出があった場合、機内でのご搭乗のときにウェルカムアナウンスをするサービスを実施していることを紹介した。
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◆グアム政府観光局、上質なイメージと即効性あるPR展開−人数は現状か上積みを (2008/04/21)
「グアムはただのビーチリゾートではない」
セミナーでは、グアム準州の観光大臣のジェームズ・V・エスパルドン氏が歓迎の言葉を述べるとともに「今回のツアーで感じたグアムのイメージ、ホテル、景観などについて、改善するべき点があれば正直に教えてほしい」と参加者に率直な意見を求め、グアムの観光業を盛り立てていくことに協力を要請。「改善が必要ならば、グアム政府としてさらに予算を組むつもりである」と、政府をあげて後押ししようとする意欲を示した。
また、GVB副局長のメアリー・トレス氏は「グアムはただのビーチリゾートではない」ことを強調し、今年の重点市場として「ウエディング」「団体・インセンティブ」「シニア」の3つを挙げた。ウエディングでは2005年に1万組だった挙式数を、1万5000組に増やすことをめざす。グアムは日本から3時間半で到着し、同行者が行きやすい地理的条件や、オーシャンビューのチャペルや日本語を話すスタッフなどの質の高い挙式施設とサポート体制、挙式以外の時間を過ごすアクティビティが豊富なことなど、ウエディング・デスティネーションとしての優位性をアピール。さらに今年8月には「グアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパ」に新しいチャペルも完成予定であり、話題性が増えることを加えた。
2つ目の団体・インセンティブ市場では、グアムでは1500名近くまでの団体を受け入れることが可能であると説明し、今後は社員旅行、修学旅行、スポーツ合宿などへの広がりを視野に入れている。誘致に向け、現在は団体旅行キャンペーンを実施。3月1日から7月31日の期間を対象に、20名以上のグループで旅行した際の想い出を写真とレポートで送ると抽選で10万円をプレゼントする内容で、特に閑散期である3月から6月の集客対策をねらう。
また、3つ目のシニア・熟年市場では、日本での定年人口の増加に、700万人ともいわれる団塊世代を受け入れる準備を推進。日本からの距離が近く、1時間の時差で身体の負担が少なく、ホテルには日本人スタッフがいるという点で、熟年・シニア層が安心して滞在できる素地があることをアピールする。さらに、熟年・シニア層には文化、歴史を打ち出す考えで、ブランドイメージの向上をめざし選定した観光大使には、特にこれらの世代の認知度を重視し、グアム自然大使としてバレエダンサーの草刈民代さん、文化大使としてスポーツジャーナリストの小谷美可子さんを起用。そのほか、チャモロ文化を体験するアトラクションや施設の整備にも着手しているという。
グアム情報源の半数以上が旅行会社のパンフレット
GVB日本代表の光森裕二氏は、グアムの現況を説明。2007年度のグアムへの日本人渡航者数は、前年比2.2%減の93万2175人であった。しかし、光森氏は「航空座席が8.5%減であったことを考えると健闘している」とコメント。さらに、重点市場にあげるシニア層の指標となる50代以上の割合は(全体の)17%に落ち着いているが、平均年収が700万円以上の客層が全体の46%に増加、さらに日本での事前支払い出費額が、2006年12月から2007年1月の平均は944.32米ドル、2007年4月から5月は890.06米ドル、07年8月から9月が767.99米ドルと上昇していることを紹介。従来とは異なる客層が増え、グアムが変化しつつあることを示唆した。
さらに、グアム渡航者を対象にしたアンケートによる訪問理由の結果によると「南国ならではの美しい海、自然、気候のすばらしさ」が63%、「日本からの近さ」が53%についで、「前回の訪問のよさ」も31%で4位と健闘している。さらに、同アンケートの旅行者の情報源はガイドブック70%、インターネット61%に次いで、旅行会社のパンフレットが54%となっており、光森氏はパンフレットの重要性を説き、旅行会社各社に「旅行者はパンフレットを読み込んで目的地を決める。しっかりした情報を入れて欲しい」と呼びかけた。GVBでは今後、日本人海外渡航者の目的地シェアとして、2007年より0.5ポイント増の5.9%とすることをめざしていく。
日本/グアム間の空路はおおむね順調
グアムに直行便を就航させている各航空会社も2007年度の実績や今後の展望を発表。全日空(NH)の2007年のグアム線の利用者数は1万2140名、就航率は100%を達成した。(関空発の)夜便のため、NHのネットワークを活用し、地方からの乗継が乗客の3割を占めているという。また、日本航空(JL)は、利用者数は6%増。06年上期よりビジネスセイバーを導入し、ビジネスクラス使用のパッケージを造成・販売したため、ビジネスクラスは114%増と大きな伸びを見せている。今後ともパッケージ用の観光ビジネスクラスを提供していく方針だ。夜便の981便、982便についても3年間は現状維持で就航させていく。
また、ノースウエスト航空(NW)は09年にボーイング787の導入を予定しているほか、就航25周年となるコンチネンタル航空(CO)は7月に成田線を週5便増便、8月は、関西(夜便)のデイリーで運航。さらに、団体需要を見込んだ新たなサービスとして、10名以上の団体に対し、事前の申出があった場合、機内でのご搭乗のときにウェルカムアナウンスをするサービスを実施していることを紹介した。
インタビュー GVB局長ジェラルド S.A. ペレズ氏
文化・歴史の訴求に向け、観光素材の開発に着手
グアム政府観光局(GVB)局長のジェラルドS.A.
ペレズ氏は今後、ビーチデスティネーションやシ
ョッピングだけでなく、文化や歴史もアピールして
いく方針を語った。グアムはビーチリゾートのイメ
ージが強いが、紀元前3500年から島に住むチャモロ
人によるチャモロ文化と、1565年から1898年までス
ペインの植民地であったという、歴史的・文化的な
背景がある。以前から少しずつ、グアムの文化・歴
史的側面を紹介していたが、近年のシニア層と学生
の教育旅行の増加によりニーズが高まりつつあり、
今後は文化・歴史を目的とする観光素材の開発に着
手する方針。グアムには現在19の村があり、それぞ
れの村の伝統色を生かした特徴のあるアクティビ
ティをつくるよう、各村の村長に働きかけていると
いう。
観光開発の一方で、ペレズ氏はグアムの重要な観光素材である自然について、「環境保護
を重視している」と述べ、法律を遵守した開発を実施していることを強調した。さらに、ビ
ーチのみならず、グアム全体の自然を知ってほしいと考えを述べ、その一環として10月に
実施している「ココ・ロードレース」を紹介。グアムの絶滅危惧種、ココ鳥を名に冠する
ことで、旅行需要のみならず、グアムの豊かで貴重な自然をアピールしているという。
中期・長期の展望では、日本が最重要市場であることにはかわりはないとしながらも、
中国とロシアに注目していることを明かした。特に中国や香港、マカオの富裕層をターゲッ
トとして考えており、ビザの都合により急に需要を伸ばすことは難しいとしながらも、今
後ひとつのマーケットとして注目していく考えのようだ。
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