米・パウワウ開幕、TIAがアメリカプロモーションの総力を集める

  • 2008年6月3日
(ラスベガス発 鈴木次郎) アメリカ・ネバダ州ラスベガスでアメリカ旅行の見本市「パウワウ」が現地時間6月2日から5日の日程で開幕した。今年の参加者は約6500名、このうちバイヤーは4500名、セラーは1500名、メディアは過去最高の400名超で、日本からの参加者は110名超だ。

 TIAは先ごろ、日本でアメリカへの旅行を促進することを目的とした新たなウェブサイト「ディスカバー・アメリカ」を開設したところ。これは日本語を含め、スペイン語、ドイツ語、フランス語、英語の5ヶ国語で、約400万ドル(約4億2000万円超)の予算を商務省から得て、実施しているもの。ニューヨーク、オーランド、マイアミ、ラスベガス、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ダラスなど主要観光都市だけでなく、都市の先にあるアメリカの様々なデスティネーションを広く紹介し、「アメリカ」を各国の旅行市場でブランド化をはかり、旅行需要につなげることがサイトのねらい。

 TIAは、2006年に「旅の力(Power of Travel)」を掲げ、旅行産業の経済における重要性を主張。2007年には米議会、米連邦政府へのロビー活動の強化をはかり、旅行業界の「声」を政治に届け、現在は議会に「旅行促進法(Travel Promotion Act)」の成立を働きかけている。こうした一連の動きは、入国管理の厳しさからくるアメリカの良いイメージが薄れていること、デスティネーション競争が激化する中で2001年以前の市場規模に復活を果たすことをめざしたもので、川上の政府レベルから、川下のサイト開設まで包括的な活動を展開している。TIA・CEOのロジャー・ダウ氏は2日に開催されたメディア・イベントにおいて、「パウワウ開催前にグランドキャニオンを訪れたが、ラスベガス、ネバダ州は観光素材が豊富で、世界中から旅行者が増えることを期待している。ぜひ、世界に発信をして欲しい」と語り、広くアメリカへの訪問を呼びかけている。

 これに先立ち、アメリカ商務省旅行観光業担当部(OTTI)が発表した資料によると、2007年(1月〜12月)のアメリカ訪問者のうち、日本人は15.2%(353万1489人)となり、英国の18.8%(449万7858人)に次ぎ、2位の市場となり、3位のドイツの6.3%(152万4151人)と日本はシェアで倍以上の大きさを保っている。今回のパウワウで注目されるインドの2.3%(56万7045人)、中国の1.7%(39万7405人)とそれぞれ大きな差がある。また、韓国は今年にもビザ・ウェーバー国となるが、3.3%(80万6175人)とこちらも5倍近い市場規模の差がある。いずれのアジア諸国とも、今後はシェアの差が縮小すると想定されているが、5年程度は日本市場の量、消費額とも現在の市場の順位にいると期待する声もある。


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