ハワイ体験レポート(22) ハワイの「メーデー」は「レイデイ」
ハワイの「メーデー」は「レイデイ」
日常に根付くレイの文化から、本当のハワイを知る
〜カピオラニ公園のレイデイ・フェスティバル〜
5月1日は、日本をはじめ国際的には労働者の祭典、そしてヨーロッパでは春の訪れを祝う「メーデー」だが、ハワイでは「レイデイ」。身近な文化であるレイ・メイキングやレイを贈る習慣を讃える、州の休日だ。当日はハワイ各地でさまざまなフェスティバルが開催されるが、最も盛大なのが、レイのコンテストがおこなわれるオアフ島のクイーン・カピオラニ公園でのイベント。特に今年は世界で一番長いレイを作りギネスに挑戦する特別イベントが開催。色とりどりの花と笑顔に囲まれ、アロハスピリットにあふれた1日となった。(文/内田佐知子)
今年は世界で一番長いレイでギネスに挑戦!
会場のカピオラニ公園には、午前7時を過ぎると、会場には地元の人々がやってくる。イベントは午前9時から午後5時30分だが、レイコンテストに参加するには午前7時30分から午前9時までの登録が必要なのだ。同時に、観光客や地元の住民たちがテントを張ったり、芝生にマットをひいて、場所の陣取りもはじまった。ライブ・ミュージックやフラのパフォーマンスの上演のほか、フードやハワイアン・クラフトの屋台が出店するので、1日中、ピクニック気分で楽しむ人が多いという。ゆっくり寝転びながらレイデイを楽しもうという人たちで、公園がどんどん埋まっていく。
午前9時になると、ロイヤルハワイアンバンドによる『May day is Lei day』の演奏で、セレモニーがスタート。そして今年のメインイベントの1つである、ギネスブック登録用のレイ作りもはじまった。ギネスブックには、過去に「最長のレイ」というカテゴリーがないので、今回のレイが記録になるのは確定していること。ただ、初めて長いレイを作るということで、その長さを測るためにはたくさんの人手が必要。世界最長のレイは、計5336フィート(1600メートル以上)になり、子供たちのボランティアのほか、公園にたまたまいた人達も参加して、笑い声がこぼれながらのギネスへの挑戦となった。
午後からは、マカハサンズやカペナのライブ、ハラウのパフォーマンス、スチールギターの無料体験レッスンが開催。また、ホオラウレアと呼ばれるギフト&クラフトショーのエリアでは、レイを売ったり、貝殻やクジラの骨のアクセサリー、ハワイアンキルトなどを売る人たち、ハワイアンマッサージサービスのブースなども出店され、地元の人に混じって観光客も楽しそうに交流を深めていた。
今年の優勝作品は初エントリーの男性による帽子のレイ!
レイデイのコンテストに出品された全てのレイは、翌日、ヌウアヌにある皇室の霊廟に運び、ハワイの王族たちのお墓などに飾られるので、大変名誉なこと。そのため例年、多くのエントリーがある。どんな人でもエントリーできるが、ひとつでもルールに従っていないものは、対象にならない。細かいルールを含め、12名ほどの審査員達が厳しく審査することになっている。
レイは各カテゴリーに分けられ、例えば、子供部門も5歳以上からと9歳から13歳の2部門に分かれる。また、頭に載せる「レイ・パパレ」(ヘッドレイ)、初心者部門の「レイ・ラニキラ・ムラ」、「市長の選ぶグランプリ」のほか、色別の「赤」「ピンク」「黄色」「オレンジ」「白」「グレー」「ブラウン」「グリーン」のレイや、リボンや布で作られたレイ「レイ・リピネ」など。さらに、レイの作り方にはいくつかの方法があり、コンテストに参加する場合は、「ハク」「ヒリ」「フムパパ」など、6つの伝統的な編み方から1つの技法を使って編み込まなければならないきまりもある。このほか、首からかけるレイは、30から36インチの間、帽子につける「レイ・パパレ」は、22から24インチ以内と決まっていたり、ひもの頭と終わりに2インチずつの余裕をもたせないといけなかったりと、細かいルールがある。
「その年のテーマアワード」もあり、今年のテーマは「ナ・レイ・フル・クプナ(尊敬する年長者たち)」。この部門で1位をとると250ドル。そして、誰もが注目する、市長の選ぶグランプリは、500ドルの賞金がもらえる。今年のレイコンテストで、グランプリに選ばれたのは、シダ(パラパライ)、ククイ、モアを使ったレイ・パパレ。コンテストのスタッフの話によると、作者のジョー・ケリーさんは、今年が初のエントリー。大抵は過去に何度かエントリーして、既にいくつか賞をとっている人がグランプリを獲ることが多く、今年は初めてで、しかも男性なので、驚いている人が多いという。作品をみると、その完成度と手先の器用さは、もちろんグランプリに値する素晴らしさ。ケリーさんはグランプリに選ばれた嬉しさで、壁に飾りを作ったり、帽子をのっけるスタンドまであっという間に作ってしまうほどの技術の持ち主だ。
「コンテストの参加者たちは、レイ・スタンドを経営している人や、レイの作り方を教える先生、フラのダンサーなどさまざま。ただ、勝ち負けよりは、このレイが全てハワイの王族のもとに届くから、参加する人達も多いよ。とても名誉なことだからね」と、スタッフは大きな笑顔を見せる。この日の為に、参加者それぞれがこだわりのレイの新鮮度を保つ為に、前の晩から一生懸命作るのだとか。ハワイのレイデイは、まるでこの日にハワイが新年を迎えるような、そんな厳粛な気持ちさえ起こさせる、素敵な祝日だと思えた。
ハワイの人たちに根付いたアロハなホリデー
「レイデイ」は、作家で詩人だったブランディング氏がハワイを訪れた際、船から降りてくる観光客に次から次へとレイをかける姿を見て、「このままだとレイは観光客にかけるだけのアクセサリーとなってしまう。自分たちに美しいレイをかけることを決して忘れてはいけない」と強く感じ、ハワイならではのレイ・メイキングの文化を讃える祝日を作るべきだと新聞に記事を書いたのが、そもそものきっかけ。その後、彼の友人で作家であるウォーレン氏が、メーデーをレイデイにしてしまおうと提案し、1928年にレイデイが開催されたと言われている。
その年のレイデイは、みんながレイを首からかけて、フラやミュージックライブ、レイメイキング・デモンストレーションやコンテストなどを実施。ダウンタウンにあるカメハメハ大王の銅像には、たくさんのマイレやプルメリアのレイがかけられた。フェスティバルは大成功し、改めてレイはハワイアンが鮮やかな色、香り、大声で笑うこと、そしてアロハの心で生きてきたスピリットを象徴していると意見が一致。レイデイをハワイ州で正式に祝日と制定するべきだということになり、翌年1929年には、正式なハワイの祝日となったのだ。
今ではハワイ全体でレイ・メイキング文化を讃えるフェスティバルが開催。ハワイの人達にとって非常に身近な文化である、レイ・メイキングやレイをプレゼントしあう習慣に触れる日となった。クイーン・カピオラニ公園でのイベントのほか、ホノルル市郡ではレイ・クイーンとその宮廷を選ぶコンテストを実施したり、学校でもその年のレイデイ・キング、クイーン、プリンセスなどを選ぶので、子供にもビッグなイベントとなっている。
カピオラニ公園のイベントでは、「レイデイはレイをしなきゃね」というローカルの人たちのかけ声で、会場にいる人たちからペットまで、多くの人々がレイを首からかける。プルメリアやチューバローズ、ピカケなどで会場中を充満させた甘くトロピカルな香りが、ハワイのおおらかさ、やさしさの象徴のようだった。
日常に根付くレイの文化から、本当のハワイを知る
〜カピオラニ公園のレイデイ・フェスティバル〜
5月1日は、日本をはじめ国際的には労働者の祭典、そしてヨーロッパでは春の訪れを祝う「メーデー」だが、ハワイでは「レイデイ」。身近な文化であるレイ・メイキングやレイを贈る習慣を讃える、州の休日だ。当日はハワイ各地でさまざまなフェスティバルが開催されるが、最も盛大なのが、レイのコンテストがおこなわれるオアフ島のクイーン・カピオラニ公園でのイベント。特に今年は世界で一番長いレイを作りギネスに挑戦する特別イベントが開催。色とりどりの花と笑顔に囲まれ、アロハスピリットにあふれた1日となった。(文/内田佐知子)
今年は世界で一番長いレイでギネスに挑戦!
会場のカピオラニ公園には、午前7時を過ぎると、会場には地元の人々がやってくる。イベントは午前9時から午後5時30分だが、レイコンテストに参加するには午前7時30分から午前9時までの登録が必要なのだ。同時に、観光客や地元の住民たちがテントを張ったり、芝生にマットをひいて、場所の陣取りもはじまった。ライブ・ミュージックやフラのパフォーマンスの上演のほか、フードやハワイアン・クラフトの屋台が出店するので、1日中、ピクニック気分で楽しむ人が多いという。ゆっくり寝転びながらレイデイを楽しもうという人たちで、公園がどんどん埋まっていく。
午前9時になると、ロイヤルハワイアンバンドによる『May day is Lei day』の演奏で、セレモニーがスタート。そして今年のメインイベントの1つである、ギネスブック登録用のレイ作りもはじまった。ギネスブックには、過去に「最長のレイ」というカテゴリーがないので、今回のレイが記録になるのは確定していること。ただ、初めて長いレイを作るということで、その長さを測るためにはたくさんの人手が必要。世界最長のレイは、計5336フィート(1600メートル以上)になり、子供たちのボランティアのほか、公園にたまたまいた人達も参加して、笑い声がこぼれながらのギネスへの挑戦となった。
午後からは、マカハサンズやカペナのライブ、ハラウのパフォーマンス、スチールギターの無料体験レッスンが開催。また、ホオラウレアと呼ばれるギフト&クラフトショーのエリアでは、レイを売ったり、貝殻やクジラの骨のアクセサリー、ハワイアンキルトなどを売る人たち、ハワイアンマッサージサービスのブースなども出店され、地元の人に混じって観光客も楽しそうに交流を深めていた。
今年の優勝作品は初エントリーの男性による帽子のレイ!
レイデイのコンテストに出品された全てのレイは、翌日、ヌウアヌにある皇室の霊廟に運び、ハワイの王族たちのお墓などに飾られるので、大変名誉なこと。そのため例年、多くのエントリーがある。どんな人でもエントリーできるが、ひとつでもルールに従っていないものは、対象にならない。細かいルールを含め、12名ほどの審査員達が厳しく審査することになっている。
レイは各カテゴリーに分けられ、例えば、子供部門も5歳以上からと9歳から13歳の2部門に分かれる。また、頭に載せる「レイ・パパレ」(ヘッドレイ)、初心者部門の「レイ・ラニキラ・ムラ」、「市長の選ぶグランプリ」のほか、色別の「赤」「ピンク」「黄色」「オレンジ」「白」「グレー」「ブラウン」「グリーン」のレイや、リボンや布で作られたレイ「レイ・リピネ」など。さらに、レイの作り方にはいくつかの方法があり、コンテストに参加する場合は、「ハク」「ヒリ」「フムパパ」など、6つの伝統的な編み方から1つの技法を使って編み込まなければならないきまりもある。このほか、首からかけるレイは、30から36インチの間、帽子につける「レイ・パパレ」は、22から24インチ以内と決まっていたり、ひもの頭と終わりに2インチずつの余裕をもたせないといけなかったりと、細かいルールがある。
「その年のテーマアワード」もあり、今年のテーマは「ナ・レイ・フル・クプナ(尊敬する年長者たち)」。この部門で1位をとると250ドル。そして、誰もが注目する、市長の選ぶグランプリは、500ドルの賞金がもらえる。今年のレイコンテストで、グランプリに選ばれたのは、シダ(パラパライ)、ククイ、モアを使ったレイ・パパレ。コンテストのスタッフの話によると、作者のジョー・ケリーさんは、今年が初のエントリー。大抵は過去に何度かエントリーして、既にいくつか賞をとっている人がグランプリを獲ることが多く、今年は初めてで、しかも男性なので、驚いている人が多いという。作品をみると、その完成度と手先の器用さは、もちろんグランプリに値する素晴らしさ。ケリーさんはグランプリに選ばれた嬉しさで、壁に飾りを作ったり、帽子をのっけるスタンドまであっという間に作ってしまうほどの技術の持ち主だ。
「コンテストの参加者たちは、レイ・スタンドを経営している人や、レイの作り方を教える先生、フラのダンサーなどさまざま。ただ、勝ち負けよりは、このレイが全てハワイの王族のもとに届くから、参加する人達も多いよ。とても名誉なことだからね」と、スタッフは大きな笑顔を見せる。この日の為に、参加者それぞれがこだわりのレイの新鮮度を保つ為に、前の晩から一生懸命作るのだとか。ハワイのレイデイは、まるでこの日にハワイが新年を迎えるような、そんな厳粛な気持ちさえ起こさせる、素敵な祝日だと思えた。
ハワイの人たちに根付いたアロハなホリデー
「レイデイ」は、作家で詩人だったブランディング氏がハワイを訪れた際、船から降りてくる観光客に次から次へとレイをかける姿を見て、「このままだとレイは観光客にかけるだけのアクセサリーとなってしまう。自分たちに美しいレイをかけることを決して忘れてはいけない」と強く感じ、ハワイならではのレイ・メイキングの文化を讃える祝日を作るべきだと新聞に記事を書いたのが、そもそものきっかけ。その後、彼の友人で作家であるウォーレン氏が、メーデーをレイデイにしてしまおうと提案し、1928年にレイデイが開催されたと言われている。
その年のレイデイは、みんながレイを首からかけて、フラやミュージックライブ、レイメイキング・デモンストレーションやコンテストなどを実施。ダウンタウンにあるカメハメハ大王の銅像には、たくさんのマイレやプルメリアのレイがかけられた。フェスティバルは大成功し、改めてレイはハワイアンが鮮やかな色、香り、大声で笑うこと、そしてアロハの心で生きてきたスピリットを象徴していると意見が一致。レイデイをハワイ州で正式に祝日と制定するべきだということになり、翌年1929年には、正式なハワイの祝日となったのだ。
今ではハワイ全体でレイ・メイキング文化を讃えるフェスティバルが開催。ハワイの人達にとって非常に身近な文化である、レイ・メイキングやレイをプレゼントしあう習慣に触れる日となった。クイーン・カピオラニ公園でのイベントのほか、ホノルル市郡ではレイ・クイーンとその宮廷を選ぶコンテストを実施したり、学校でもその年のレイデイ・キング、クイーン、プリンセスなどを選ぶので、子供にもビッグなイベントとなっている。
カピオラニ公園のイベントでは、「レイデイはレイをしなきゃね」というローカルの人たちのかけ声で、会場にいる人たちからペットまで、多くの人々がレイを首からかける。プルメリアやチューバローズ、ピカケなどで会場中を充満させた甘くトロピカルな香りが、ハワイのおおらかさ、やさしさの象徴のようだった。