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レイルヨーロッパ、今年はカフェ拠点を増やしプロモーション−鉄道のGDSへ

  • 2008年5月21日
 レイルヨーロッパは5月20日、東京・麻布店のルービー・カフェを皮切りに、品川、霞ヶ関と都内3ヶ所でレイルヨーロッパ・カフェを展開する。このカフェは昨年の表参道に続くもので、麻布では若年層、品川ではビジネスマン・ウーマン、霞ヶ関ではビジネスマンやセミナーの開催による幅広い層への訴求をはかる。これにあわせ、レイルヨーロッパのプロダクツ&マーケティングディレクターのローラン・ビジャウィ氏が来日し、日本オフィス展開10周年を含め、概況を語った。現在、日本での売上は全世界で韓国、オーストラリアに次ぐ3位であるものの、このところの高速化がはかられたことにより、販売に弾みがついている。2007年の通年の売上は前年比13%減であるものの、06年のワールドカップ開催による反動であると見ており、特殊要因を除くと堅調に推移していると見ている。先ごろ、欧州エクスプレスが旅行業界を対象としたサイトを開設したことも好要因と見ており、これによる販売増も期待している。


▽これまでの日本での10年と今後

 ビジャウィ氏は日本市場での10年間について、「実りが多かった」と振り返り、「旅行業界と消費者の動向をきちんと把握し、その上で販売と商品開発へのフィードバックとがきちんと出来ている」と数字には表れない効果を説明。「日本をパイロットケースに、3年前にインド、韓国、1年半前にラテンアメリカ、さらにオーストラリアと世界各地にオフィスを展開してきた」と、日本での成功事例を基にして、各市場での展開につながっていることを強調する。その上で、日本市場は他国とは異なる取引環境があることに理解を示し、旅行会社との関係を強く保ちつつ、市場での競争環境に耐えうるサービスを提供していく考えを示した。

 ビジャウィ氏が特に競争相手と考えるのは、格安航空会社(LCC)だ。LCCはウェブサイトを主力の販路としており、その対抗策がウェブサイトでの販売だ。ただ、LCCについて「安いのは航空運賃だけ。空港へのアクセス、飛行機に乗る際のさまざまな諸経費、空港に行く時間などを考えれば、決して安くはない」というものの、インターネットでの予約をはじめ、競争環境の整備を着々と整えている。

 また、将来の予測として、「環境への配慮、移動時間や移動中に仕事ができる環境など、(顧客に提供できる)多くの明るい材料がある。流通もこれまでと比べ、旅行会社を経由したウェブ展開を通じ、幅広く販売につながる」とし、「鉄道のワンストップショップになっている」との認識を示した。さらに今後の流通としても、「GDSがわれわれのコンテンツを必要としてくる時代になるのでは」といい、「航空業界でセーバーがあらわれ、数年で流通に欠かせないものになったこととが、鉄道でも同じように起こる」とも語り、高速化が進む中で鉄道の座席インベントリーに大きなシェアを持つレイルヨーロッパの重要性がさらに高まる方向性を示唆。既に、オリエントエクスプレス、アメリカのアムトラックの販売、交渉など各方面での拡大を図っていることに言及した。