関空、07年度は増収増益確保−08年度は赤字予測もVWCに積極連携で需要喚起

  • 2008年5月19日
 関西国際空港の平成20年3月期(平成19年4月1日〜平成20年3月31日)連結決算は、営業収益が0.4%増の1061億1400万円、営業費用が1.3%増の810億9000万円、営業利益が2.7%減の250億2300万円、経常利益が9.6%減の113億9700万円、純利益が10.7%増の108億8700万円であった。部門別の収益では、航空系収益が0.5%減の461億2400万円となったものの、物販など非航空系が1.0%増の599億8900万円となった。航空系の減少は、需要の落ち込みによる旅客数の減少のほか、便数が増加したものの機材の小型化と減便、運休が要因だ。また、経費増の要因は、8月の第2滑走路供用開始にともなう減価償却費やメンテナンス費、支払利息、税金などの諸費用と、物販の販売量拡大にともなう仕入れ費用の増加が大きい。

 関空代表取締役副社長の平野忠邦氏はこの結果を、第2滑走路の供用開始を経て増収増益を確保でき、営業利益率も23.6%となったことに触れ、「順調に会社が動いている」と評価。2008年度は、連絡橋の道路部分の売却による減収と特別損失の計上により、26億400万円の純損失を見込むが、「道路の通行料が半額になることから、将来的には関空の利益に繋がる」と説明した。このほか2008年度には、営業収益が1.6%減の1044億3900万円、営業利益が17.3%減の207億400万円、経常利益が48.3%減の58億8000万円となる見通しだ。


▽VWCに連携して需要喚起−LCC就航にも前向き姿勢

 今後の課題として平野氏は、「出国者数の減少は一番の問題」と需要の低迷に危機感を表明。対策として、日本旅行業協会(JATA)のビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)に積極的に連携し、需要喚起を進める。既に中国へのFAMツアーを実施したほか、旅博、開港記念日に合わせたイベントを開催する。また、2004年に開港10周年を記念してジェイティービーと実施した「関空10点満点!!」が好評で、他の旅行会社からも打診があるといい、「関空にしかない路線やオリジナリティのあるデスティネーションは、旅行会社からアイディアを出してもらい、その中から選択してブロシャー・サポートをする」という。修学旅行も、「将来的な需要喚起の意味もあり、教育委員会などに働きかける」という。

 また、格安航空会社(LCC)について、「特にレジャー路線は需要の喚起にも繋がる」と歓迎の姿勢。「LCCの機材は大型機材ではないことが多く、着陸料も高くはない」とし、その上で「もし就航が実現するのであれば、LCC専用のターミナルを作る必要がある」と考えを述べた。

 また、別の課題として着陸料の高さをあげ、「現在も増便や新規就航に割引を設定しているが、仁川など競合する他国の空港に比べればまだまだ高い」と言及。現状では支払利息が着陸料収入を上回っており、大幅な値下げの原資がない。平野氏は、「金利の引き下げなど、空港の財務構造を抜本的に変えなければ、競争力はあがらない」と警鐘を鳴らした。