アマデウス、研究開発の投資が差別化の鍵−付加価値を提供する環境を支援

  • 2008年5月15日
 アマデウス・アジア・プレジデントのデービッド・ブレット氏が来日、現在のGDSビジネスの環境や今後の方向性を語った。アマデウスは全世界に約8000名のスタッフのうち、約3000名が開発に携わっており、この充実度、投資が他社との差別化をはかる上で重要との考えを示した。他産業の例をあげつつ、「企業は全てを自社でまかなうことができないとの理解しはじめている」と述べ、現在のGDS、航空・ホテル・ツアーオペレーターのIT、旅行会社向けプラットフォーム、eコマースとIT技術を基盤としたビジネス展開に自信をみせた。

 こうした一連のサービス提供の中で、特に近年の注目は航空会社に対するプラットフォームの提供。スターアライアンスは2005年、アマデウス・アルテアを推奨ITソリューションとし、同アライアンスの62%に導入、ワンワールドには64%、スカイチームでもエールフランス航空/KLMに採用され、急速に拡大しつつある分野。これにより、旅行会社に提供するGDSも含め、航空会社/旅行会社の取引、旅行会社/消費者の取引と、旅行に関わる一連の過程において、航空、旅行などそれぞれの企業が差別化をはかる上で、「付加価値を提供するために人が重要。機械にできることは、システムで対応し、その支援するツールを提供する」ことを強調し、かつての自社開発からアウトソースする考えが航空、旅行会社に浸透しつつあるという。特に、航空会社に提供するアルテアは、1社の仕組みを導入すると、それを元に他社へのサービスも提供でき、相互に良い点を吸収できるメリットがあるという。

 また、アマデウス・ジャパン代表取締役の大竹美保氏は、「企業のコスト意識が高まり、危機管理、オンライン予約の高まり、欧米型出張へ変化し、追い風が吹いている」とし、インハウス旅行会社への新規獲得に積極策を進めていることとあわせ、今回の提携に期待を示す。

 アマデウスでは、企業の拠点近くのホテルをピンポイントで紹介するサービスを提供。こうしたサービスも寄与し、2007年のインハウスのホテル予約は前年比150%増と、業務渡航を取り扱う旅行会社との連携がうまく進んでいる点をアピール。「日本市場のニーズを満たし、旅行会社を支援しつつ、具体的なソリューションを日本発で提供していく」という。


▽J’s NAVIとの提携で、旅行会社とウィン/ウィンを

 先ごろ、JTBコーポレートソリューションズ(JCS)と8月ごろをめどに、JCSが企業に提供する旅費・経費管理システム「J’s NAVI(ジェイズナビ)」とアマデウスの海外出張予約・管理システム「Amadeus e-Travel Management」の連携を発表した。こうしたシステム面の進化、連携はジェイズナビとの提携でさらに弾みがつきそう。ジェイズナビはこれまで国内出張とその他の経費等を提供してきたが、アマデウスとの提携で企業に海外出張手配が加わることで、出張を中心として企業側は出張規定の厳格な適用など、多くの分野をシステム化することが可能だ。ジェイズナビを導入する企業のうち、「約半数はJTBを使っていない」(JCS J-@ gent事業部システム&コンテンツ開発室室長の藤田満氏)としており、インハウスをはじめ、旅行会社が独自のサービスを提供する環境づくりを一段と進める。これにより、アマデウスでは「共存して、互いに勝ち組をめざす」方向を描いていく。