四川省の地震をうけた各社状況−販売再開をにらむ時期の発生で対応再検討

  • 2008年5月13日
 中国・四川省でマグニチュード7.8の地震発生にともなう被害が報告される中、観光局、旅行会社が対応を進めている。中国国家観光局(東京)首席代表の范巨レイ氏によると、発生した場所は成都の西200キロメートルで、上海や香港、台湾、北京、バンコクなどでも揺れが感じられたという。現在は、救援部隊が各地から集まり、救出作業を進めている。日本人旅行者の安否について范氏は「日本人旅行者が被災しているという報告は来ていない」という。ただし、成都、重慶の空港は救援物資の輸送を優先するため、民間機の離着陸が制限され、観光への影響は既に出ている。パンダや世界遺産の青城山などの観光資源は、「不確かではあるが、大きな損害が出てはいない」としている。

 旅行会社によると、一部で安否の確認が取れていないケースもあるが、3月に外務省がチベット問題に関連して四川省の渡航情報も引き上げたことにあわせ、募集型企画旅行の設定を中止しており、多数の日本人が現地を訪問する状況ではなかったようだ。各社の対応状況は下記の通り。


<ジェイティービー>
当該地域に該当者なし。5月14日出発で東京発に2名の予約があるが、6月以降とあわせて、本日中に対応を決定する。顧客にサービスが提供できるのか、安全をはじめとする現状把握をしている段階。また、4月28日に外務省でチベットの渡航情報が引き下げとなり、4月30日から四川省方面の黄龍、九寨溝、臥龍のそれぞれのコースを販売開始していた。


<近畿日本ツーリスト>
5月12日から15日まで日程で、広島発の2名が重慶に到着した。これから成都に向う予定だが、昨日から現在まで重慶に留まっている。帰国するか、催行を継続するかについて、交通状況や被害状況を把握し、12日中に判断、決定する。5月15日、17日の関空発で11名の予約が入っていたが、催行の判断は本日中に決定する。


<日本旅行>
当該地域に該当者なし。5月28日出発分までのツアーを中止しており、6月12日出発で2名の予約者への対応を今後、判断する。


<阪急交通社>
当該地域に該当者なし。3月のチベット暴動を受け、5月15日出発分まで四川省方面のツアーは全て中止していた。この地震を受け、さらに5月31日まで取りやめることを決定。取り扱いツアーの中止対象地域は、チベット自治区全域、四川省、青海省、甘粛省。6月1日以降は状況を見ながら今後判断する。


<エイチ・アイ・エス>
当該地域に該当者なし。5月23日出発分まで四川省方面は中止。5月13日、14日は予約が入っており、現在、行き先変更などを勧めているところという。


<ANAセールス>
当該地域に該当者なし。5月23日出発分に予定しており、催行の判断は本日中に決定する。北京のスタッフが成都の様子を確認しており、これを判断材料とする。チベット暴動後、四川省方面のツアーは中止しており、4月28日に外務省の引き下げを受け、臥龍は6月1日から、九寨溝は5月31日から再開すると決定しており、販売を再開するところを再度見直す。


<トップツアー>
当該地域に該当者なし。募集型企画旅行商品の取り扱いはないが、各支店で団体の申し込みはあり、人数や旅客数を確認している。今後、催行について判断を決定する。


<クラブツーリズム>
5月9日出発で四川省方面のツアーを催行中。12日に四川省から300キロメートル離れた方面へ向っており、16名全員の安否確認が取れている。


<農協観光>
当該地域に該当者なし。パッケージの個人客が大連に8名、九寨溝に3名、北京に6名、長春に1名、広州に1名で、全て安全の確認済み。なお、九寨溝については、帰国便が決まっていない。


<タビックスジャパン>
当該地域に該当者なし。支店からの報告でも、参加者はおらず、航空券の手配は現在、調査をしている。今後の設定や催行は、外務省の渡航情報にそって検討する。手配旅行については、顧客からのリクエストにより対応する。


<日中平和観光>
当該地域に該当者なし。そのほか、中国全土の全顧客の安全を確認済み。顧客からの問い合わせは、空港や交通の状態に関するものが多く、今後は復興状況をにらみながら対応する。


<郵船トラベル>
業務渡航が主力で、現在、駐在、出張者の数を調査している。無事を確認できない人もいる。今後は、企業と調整し、可能な対応をとる方針。

 なお、ジャルパック、西鉄旅行、京王観光は商品の設定は当該地域にない。エムオーツーリストは対応を今後、企業側と話し合いをしながら進める、との回答を得ている。


※レイはヨ(けいがしら)の下に火